フィリピンで会社設立 | 3-2 税務申告の基礎知識

■フィリピンの税務は大変シンプル
フィリピンの税務は、非常にシンプル。日本に比べると、50分の1くらいしかルールがないのではないかと思われる。

しかしながら、実務的な流れを総括したドキュメントが皆無に等しいため、外国人にとっては、「何が何だかわからない」という印象がある。

フィリピンでの税務においては、基本的に下記の書類を提出するだけで全てが足りる。

実務においては、これらはすべて「会計士」と呼ばれる人が計算をし、書式を埋めて持ってくる(あるいはメールで送ってくる )ので、小さな会社では、社内でこういった書式を作成する必要はない。
大きな会社では、社内会計士が書類を作成する。 

フィリピンには税理士という職業は無い。

会計士の費用は、P3000~P8000/月程度 。業種によって異なり、小売り系は高く、ITのようなサービス系は安いようである。(仕入れや売上げなどの伝票の数が多いと高い)
使用する用紙 報告内容 申告時期 詳細 対象企業
2550M 売上げ報告
Value-Added Tax Declaration
(VAT)
毎月 売上げを報告し、VAT計算し、納税。 VAT企業
2550Q 3ヶ月ごと 上記の通年報告。
修正があればここで修正する
2551M

売上げ報告
Percentage Tax return
(パーセンテージ)

毎月 売上げを報告し、パーセンテージTAXを計算し、納税。 非VAT企業
2551Q 3ヶ月ごと 上記の通年報告。
修正があればここで修正する
1601C 従業員の給与に対する所得税
COmpensation Withholding Tax
毎月 従業員から源泉徴収した所得税を申告し、納税。 全て
1604CF 年度末 上記の通年報告。
修正があればここで修正する
アルファリストを添付。
1601E 拡大源泉徴収
Expanded Withholding Tax
毎月 家賃、外注費用について、相手への支払いから源泉徴収した場合は、それを申告し納税。
かわりにBIRからはCertificate of Creditable Tax Withheld At Source(2307)を受領する。
全て
1604E 年度末 上記の通年報告。
修正があればここで修正する。
1702Q 法人税
ITR
3ヶ月ごと 法人税の申告と納税。
ITR(Income Tax Return)。
アイティーアールと呼ばれる。
全て
1702 年度末 上記の通年報告。
修正があればここで修正する。
1605 更新費用 年度末 年間P500をBIRに支払う。 全て
■経営者は何をチェックするか
売上げ報告
ここでは毎月の売上げを報告するので、その金額が自分の感覚と大きくかけ離れていないかをサインする前にチェック。
金額がおかしいと思ったら、「ここのブレイクダウンは?」と会計士に詳細を示させる。

毎月の報告で間違っても、3ヶ月ごとに修正できるので、それほど深刻ではない。
従業員の給与に対する所得税の源泉徴収申告
これはすでに従業員から天引き済みであるはずなので、天引きした金額と、このフォームで納める金額が同じであるかどうかをチェックする。
これも会計士が、各従業員からいくら天引きしたかの資料を示してくれるので、ここで間違えることはあまりないだろう。
拡大源泉徴収
ここでは、家賃、外注費用(会計士・弁護士などの費用もここに含まれる) から源泉徴収した額を申告する。基本的に、毎月毎月同じ項目・数字が並ぶことが多いので、見ればすぐにわかる。
法人税
これが一番重要で、会計士から直接、算出根拠を聞く。
売上げに関しては、毎月報告している数字の集計であるため、それほど問題は無い。
経費部門は何をどのように計上しているかが分かりにくいため、よくヒアリングする。

特に、減価償却の考え方は、日本と異なり、会計士にかなりの裁量が与えられているため、減価償却のリストを提出させるなどして、よく打ち合わせする。
いずれも、サインをする前に、「これは何の申告なのか」「毎月の申告なのか」「4半期申告なのか」くらいは自分でわかるようになるべきである。
「この日本人は何も知らない。何でもサインする」と思われると、様々なところで不正を誘発したりするので、多少の「知ったかぶり」をすることも重要だ。 
日本とは違い、この国にはこういったしくみを、親切に順序立てて説明できる人はいない。
 
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