業務上、フィリピンの税務署(BIR)や公的機関のオンラインサービスに、顧客の代理でアカウントを作成することが多い。
私は以前から「パスワードマネージャーを使いなさい」と繰り返し指導しているが、ほとんどのローカルスタッフはこれを守らない。代わりに、Excelにパスワードを書き込むという非常に危険な方法で管理している。
■ 最近の実例:eONETTのアカウント作成
先日、株式譲渡の手続きで、ある社員に「eONETTのアカウントを作るように」と指示した。
すると返ってきた答えがこれだった。
「自分のTIN番号がすでに使用されていると表示され、アカウントを作れません。いつ作成されたのかも分かりません。BIRに問い合わせたら5日くらいかかると言われました。」
つまり、誰がいつ登録したかの記録もない。
パスワードマネージャーを使っていれば1分で確認できることが、BIRへの問い合わせで「5日」になる。
しかも、その5日後にフォローアップを忘れるのが常で、結局、1〜2週間のロスになる。
BIRがすぐにパスワードをリセットしてくれることは無く、1,2ヶ月はかかると予想できる。
問題の本質
- 基本ルールを軽視する文化。
「今までもExcelでやっていたから大丈夫」という思考停止。パスワード管理の目的(効率化と情報保護)を理解していない。 - 責任の所在があいまい。
「BIRが遅い」「登録済みだった」と他責にする傾向。しかし原因は明らかに「指示を守らなかった」ことにある。 - フォローアップを仕組み化していない。
問い合わせをしたあと、リマインダーすら設定しないため、進捗が闇の中。
改善策:仕組みで防ぐしかない
- パスワードマネジャーを使うことを義務化する。使用するソフトウェアも指定する。
- 「Excel管理は懲戒対象」と明文化しない限り、文化は変わらない。
まとめ
こうした小さな怠慢が積み重なると、会社の信頼と納期を確実に削っていく。
問題は個人の能力ではなく、「ルールを守らない文化」にある。
怒りではなく、仕組みで統制するしかない。