オフィスに携帯用の掃除機を買った。
しかし、ほとんど使われることはない。
社員の多くは、「掃除は掃除をする係の仕事であって、一般職員の仕事ではない」と思っているようだ。
中には、「掃除する人を雇えばいいじゃないか」と言う者もいる。
――そのお金はどこから出るのか? うちをそんなにリッチな会社だと思っているのか?
雑巾を一度使ったら捨てる習慣もある。
日本のようにバケツでゆすいで何度も使うという発想がない。
何事もルール化しないと誰も自発的にやらず、他人事のように見ている。
たまにオフィスに行くと、あまりのホコリと髪の毛の多さに驚く。
そして、誰かが新しいルールを作ろうとすると、「うるさい」「厄介な人」と陰で文句を言う。
非協力的な社員がいたら、私に報告してほしい。
これではマニラの街がどこへ行っても汚いのも納得だ。
日本では、外国人が少ない街ならどこでもきれいだ。
私は汚いものが本当に嫌いだ。
「なぜオフィスの人だけが掃除するのか?」
最近はこんな声も出てきた。
「なんでオフィス勤務の人だけ掃除するの? WFH(在宅勤務)の人はしなくていいの?」
正直、もうこういう議論にはうんざりだ。
次に私が行ったときは、もう自分で、妻と一緒に掃除するつもりだ。
フィリピン人に掃除をさせるより、自分でやった方がよっぽど気持ちがいい。
文化の差は、ちょっとやそっとでは埋まらない。
「きれい好き」な人は、どこの国でも限られている。
パソコンのデスクトップを見れば一目瞭然だ。
アイコンやファイルが散乱している人は、たいてい身の回りも汚い。
ルールではなく「文化」を作る
結局のところ、必要なのはルールでも罰則でもない。
誰か数人でも、きちんと掃除を習慣化してくれれば、他の人も自然に続く。
掃除を「やらされること」ではなく、
「自分たちの場所をきれいに保つ文化」にしていくしかない。