フィリピンからタイや日本など海外へ支払いを行う際、一般的に 最終源泉税(Withholding Tax) が課されます。
しかし、相手国との租税条約(Tax Treaty)を適用できれば、これを軽減することが可能 です。
最近、お客様から次のようなご質問をいただきました。
「フィリピンからタイなど海外への支払いは25%の源泉税を引く必要があると思いますが、租税条約の登録をすることで免税になるかと思います。
この手続きについてサポートされていますでしょうか?」
当社の回答と実務上のポイント
当社では フィリピンと相手国の租税条約手続き(Tax Treaty Relief)に対応しています。
ただし、国によって手続きの難易度が大きく異なります。
①相手国が「法人」か「個人」かが重要
租税条約を適用するためには、
- 法人 → 法人の居住国証明
- 個人 → 個人の居住者証明
といった 「相手国の公的な居住証明書」が必須です。日本の場合は法人であれば「国税庁の居住者証明書」で対応できますが、タイの場合、こうした書類がどの機関で取得できるのかが明確ではありません。
② タイはハーグ条約(Apostille)に未加盟
さらにやっかいなのが、タイはアポスティーユ条約に加盟していない国です。したがって、
- 日本やフィリピンのようにアポスティーユで簡単に国際認証できない
- 領事認証(Consularization)が必要で、非常に手間がかかる
という大きな問題があります。領事館での認証は、
- 手続きが煩雑
- 書類準備に時間がかかる
- タイ側の弁護士など、協力者がいないとほぼ進まない
という特徴があります。
③ 実務的に、タイ相手の租税条約手続きは非常に難しい
フィリピン側の手続き自体は当社で問題なく対応できますが、最大のハードルは「タイ側の書類がタイムリーに揃うかどうか」にあります。
フィリピンのBIR(国税庁)は、相手国発行の居住証明(その領事認証済みである必要あり)が揃って初めて受理します。
しかし、タイ側でこれを迅速に処理してくれる代理人や弁護士がいない場合、手続きが長期化し、事実上、租税条約の適用が難しいケースが多いのが現実です。
そのため、正直に申し上げると、「相手国がタイの場合は、当社としては積極的にはお受けしたくない」というのが本音です。
理由は、
- タイ側の書類が予定どおり出てこない
- その遅延がフィリピン側の手続きを完全に止めてしまう
- 結果としてクライアント様に迷惑がかかる
ためです。
■ まとめ:ハーグ条約未加盟国向け支払いで租税条約適用はハードルが極めて高い
フィリピンからの海外支払いにおいて、租税条約を適用することで源泉税を軽減することは可能です。
しかし、タイを相手国とする場合は、書類取得の難易度と領事認証の負担が非常に大きく、実務上のリスクが高い のが現実です。