ノータライズ(Notarize)とは、日本でいう「公証」で、「作成者の署名又は記名押印のある私文書について、文書が作成名義人の意思に基づいて作成されたことを公証人が証明する」ことを言います。
また、もう一つの重要な機能として、「確定日付の付与」という意味があり、作成者の署名又は記名押印のある私文書に公証人が確定日付印を押捺して、その日にその文書が存在したことを証明するという意味があります。
この画像がフィリピンでNotarizeされた実際のサンプルです。

フィリピンでのノータライズは非常に手軽で、ノータライズ・オフィスに、ノータライズしたい書類の原本及び、署名をした人の公的ID(外国人の場合はパスポートのコピー)を持ち込むと、上記のサンプルのように青いスタンプを押してくれます。署名をした本人がノータライズ・オフィスに行く必要はなく、誰かに依頼することが可能です。委任状も不要なので、日本に比べて非常に簡単です。
このサンプルでは、HENRYという弁護士が「この書類が2022年の5月11日に署名された」ことを証明しています。原本は必ず2部以上持ち込み、1部はノータライズ・オフィスに保管され、左下に書かれたようにシリアル番号が付与されます。
費用は、その署名によって異なります。金額が絡まない一般的な書類の場合は100ペソ~300ペソ程度と安価です。
ローン契約書のように金額が絡む場合は1Mペソあたり300ペソの費用がかかりますので、注意が必要です(なおレートについては変更される可能性がありますので目安として考えてください)
さて、このノータライズ、署名をした本人が、署名をした時にフィリピンに滞在していたのであれば、フィリピンでノータライズすれば有効です。日本に比べてあまりに簡単にノータライズできるので、「日本人が日本で署名をした書類もフィリピンでノータライズしてしまおう」と考える人がいるかもしれません。
実際にコロナ禍になる前は、どこの企業も日本とフィリピンの往来が頻繁でしたので、実際には日本で署名をしていたとしてもフィリピン滞在中に署名をしたことにしても何ら問題はありませんでした。滞在した証明として渡航記録を出せと言われても、頻繁に入国している人が多かったので、問題がなかったわけです。
しかしながら、コロナ禍となりフィリピンに滞在する外国人が激減したことは、各役所も良く知っているため、現在では、フィリピン国内でノータライズされた外国人の署名つき文書を提出すると、「その期間に滞在していた証明をするために、フィリピン入国の記録を添付しろ」と言われることがあります。日本で署名をしたのであれば、素直に日本で認証を行いましょう。
日本での認証についての詳細は、こちらの記事になります。

日本の公証・認証・アポスティーユとは
公証とは、私文書に記載されている作成者の署名や記名押印が、本人によって作成されたものに間違いありません、ということを公的機関である公証人が証明することをいいます。アポスティーユとは「外国公文書の認証を不要とする条約」に基づく付箋(=アポスティーユ)による外務省の証明のことです。提出先国はハーグ条...
また、このノータライズの「日付確定機能」ですが、納税に関しても、大変重要な意味を持つことがあり、特に、多額の不動産取引などにおいて、うかつにノータライズしてしまうと納税期限が知らぬ間に、到来し数百万円の罰金の支払いを余儀なくされることがありまるので要注意です。この「納税とノータライズ」に関しては、こちらの記事を参照してください。

フィリピンの法人の株式を譲渡する場合の手続きの概要、注意事項など。印紙税、キャピタルゲイン税、譲渡税がかかります。公証を行った日が取引日としてみなされるため、公証をいつ行うかによって、各種納税の期限が決まりますので注意。
wp:paragraph –>