オフショアマネジメントはフィリピンイミグレの認定代理店です。今までにおそらく100件近い9Gビザの申請を代行してきました。
9Gビザ(就労ビザ)についての基本的な解説です。
9Gビザを取得するには、AEP(就労許可)を先に取得する必要があります。その後に9Gを申請します。AEPが発行されなければ、9Gは申請すらできません。そして、9Gの有効期限はAEPと完全に同一ですので、9Gの可否や有効期限を決めているのは、実際にはAEPの発行元であるDOLE(労働局)ということになります。
AEPが出るかどうかは、会社がネガティブリストに該当するかどうかで決まります。DOLEのDepartment Order N0.186-2017では以下のように書かれています。
この、黄色い部分は、「フィリピン国によって規制された業種」という意味で、ネガティブリストのことを指しています。ネガティブリストに該当している場合は、DOJにて、外国人雇用許可を取れ、と書かれています。つまり、「DOJが認めた場合を除き、基本的にAEPは出さない。」という意味になります。
ネガティブリストについては、こちらを参照してください。
広告業や人材斡旋業はネガティブリストの典型的な例としてよく知られていますが、「資本金が 200,000 米ドル相当の小規模国内市場企業」もネガティブ業種の一つです。フィリピン:日本=60:40の資本割合でかつ、資本金が20万ドル以下の法人を設立した場合は、ここに該当します。
ビザが取れると思って、このような法人を設立してしまった日本人や、そういう会社に就職してしまった日本人は、AEPを申請すると、必ず「DOJから外国人雇用許可を取れ」と指導されます。
詳細は割愛しますが、下記のような書類をDOJへ提出します。
- その日本人が担うべきポジションが、フィリピン人では代替できない理由
- そのポジションが技術職(Technical Position)であること。管理、マネジメント、マーケティングといった言葉はTechnicalとは認められません。Technicalかどうかは、TESDAが判断します。
- その日本人が持っている専門的スキルを、経歴などで証明
つまり、DOLEが期待しているのは、例えば「フィリピンに新しい交通システムを作るので、その専門家として日本人が働く必要がある」とか、「AIなどの最先端のIT技術を駆使したローカル企業を設立し、フィリピンにはその分野の専門家がいないので、助言や教育役で日本人が就労する」というようなケースです。
単に、日本語を話す人が必要だから日本人を雇う必要がある、という程度の理由ではまずDOJの審査は通りません。「通訳者」として通ったこともありますが、いつも通ると思わないほうが良いと思います。
例えば、
- 日本人向け美容室を経営する会社を設立して日本人の美容師を雇う
- ジムのパーソナルトレーニングの会社を設立して、日本人のトレーナーを雇う
- 日本人向けの学習塾を設立して日本人の先生を雇う
- 日本料理屋を設立して、日本人のシェフを雇う
ということは会社設立は簡単にできても、実際には日本人を雇えない可能性があるので、慎重に進める必要があります。
結局、日本人が労働者として、ローカルマーケットを対象にしたビジネスを行うことは容易ではないのです。
会社を設立する時に、SEC登録しかやったことのないローカル弁護士や、多少の手続きを覚えたくらいの人は、こういったことまでは考えません。言われた通りに会社を設立するだけですので、トータルで、いろいろな問題点を検討してくれるコンサルタントに依頼したほうが良いでしょう。