打ち合わせの概要
本日、BIRでの打ち合わせを終了。
当然ながら結論は出なかったが、「何らかの額でSETTLE(和解)したい」という事業主の意向はしっかり伝えた。
参加者は
- 担当者A(イスラム系女性)
- スーパーバイザーB(推定50歳・美肌)
このスーパーバイザーBは部長クラスの立場で、さらに上にも上司がいる。
したがって、この場で金額が決まることは稀である(とはいえ、全く無いわけでもない)。
提示した内容とやり取り
私から先に、こちらの計算を提示。
- 大きな項目のVATを、海外分と国内分に分けて計算
- 海外分のうち25%分のVATは支払うという方針
- その他は「書類で完全に証明できる」と仮定して算出した旨を説明
ここでスーパーバイザーBが参加し、
「計算してきたのか!これはSGVスタイルだ」と反応。
さらに
「海外への支払い30Mの内容は?」と質問されたため、
パソコンで実際の請求書PDFを開いて見せたところ——
「これでは何の支払か分からない。Waybillが見たい。」
と言われた。
「Waybill(ウェイビル)」とは、貨物の受け渡し・輸送経路などを記した運送書類で、
「お客さんから何を預かって、どこへ送ったのか」を証明する書類だという。
同行した事業主側スタッフが説明を試みたが、
スーパーバイザーBは納得せず。
私が「資料は全部ある、5箱分くらい」と言ったが、反応は薄かった。
後半の雰囲気と交渉の駆け引き
打ち合わせ後半は「さてどう決着するか」という空気に。
この独特の“フィリピン的な間合い”は、日本人にはまず読めないだろう。
私はあえて次のように切り出した。
「このままPAN・FANに進んでも、我々会計事務所は25万ペソは得られる。
しかし顧客は早期SETTLEMENTを望んでいる。」
これにBIR側は驚いた表情。
「日本人がそんなことを言うなんて、正気か?」
「でも、全部レシートが欲しいんでしょ?」
と確認してきたので、
「キャッシュ部分があっても構わない。ハーフハーフでもOK」
と答えた。
「1.3M+1.3M(レシート+キャッシュ)でどうか」などの数字も出たが、
それはさすがに無理だと反応しておいた。
BIR職員の反応と内部事情
「去年はいくら払った?」と聞かれ、
「去年はLOAは無かった」と回答。
さらに「その前は?」と聞かれ、
うっかり「……2(百万ペソ)かな」と答えたところ、
後でスタッフに怒られた。
「BIRにはレシートで発行された正規支払いしか記録が残らない。
だから言う必要はなかった」とのこと。
なお、2週間前にRDO44でキャッシュ受け渡しをNBIに密告され、BIR職員2名が逮捕されたとの情報もあり、
現在BIRは現金受領に非常に神経質になっているとのこと。
スーパーバイザーBからは
「あなたは20年もフィリピンに住んでいるから、ちゃんと顧客を説得できるのね」
と一言。
その後、彼女は売上総額や損益計算書を見ながら、「どの程度取れそうか」を冷静に見積もっていた様子。
雑談タイムと印象
終盤は雑談ムードに。
非常に日本人に好意的で、こんな話も出た。
- 「日本人は、払うべきものはちゃんと払う」
- 「中国人はなかなか払わない」
- 「今度日本に行くから、日本で打ち合わせしよう(笑)」
スーパーバイザーBは、理不尽な査定をせず、理屈で計算を進めたいタイプ。
非常に珍しい存在で、うちの社員も「この人は知識が豊富だ」と高評価だった。
余談:美肌スーパーバイザーの謎
あまりに肌が綺麗だったので、
私は思わず「スキンケアはどうしてる?妻に教えたい」と話しかけ、
さらに「腰のIDの写真は娘さん?」などと場を和ませた。
ただ、後から考えると、この“雰囲気づくり”が金額交渉にどれほど影響するかは微妙である。
今後の流れ
この後は、BIR担当Aとうちのスタッフが電話で交渉を続行。
BIR側にも「月末までのノルマ」があるようで、最終的な決着は今月末までにまとまりそうだ。
事業主には次のように伝えた。
「いくらまでならSETTLE(和解)し、
いくら以上なら正式に進めるか、あらかじめ決めておいてください。」
まとめ
BIRとの交渉は、論理だけでなく「空気」を読むことが重要。
担当者の性格は、本当にいろいろで、全く真面目に精査する気がない人から、精査したい人まで、千差万別である。
しかし、誠実に、かつ柔軟に対応すれば、「きっちり計算するタイプ」の職員にはきちんと通じる。