フィリピンに設立した法人の取締役(社長も取締役の一人です)になっている人が、フィリピンで働くためにAEPを取得したいというケースについての質問が多いので、その解説です。
知っておかなければならないことを、簡単に箇条書きで列挙します。
- 取締役はAEPの取得を免除されています。
- AEPを免除されているといっても、そのかわりに免除証明書を取得しなければならず、その手続きはAEPの手続きと何ら変わりません。AEPカードとそっくりのExclusionカードが発行されます。
- 取締役は年に一度の株主総会で選任されるものなので、その免除証明書は有効期限が1年しかありません。
- 「取締役」と「社員」は明確に異なるものです。
「取締役」は経営判断を行う人物で、出社することもなく、日々のオペレーションにも参加しません。雇用契約書は存在しません。給与という概念はありません。
「社員」は9時から5時まで机に座り、日々のオペレーションに参加します。雇用契約を結びます。給与をもらいます。 - 「取締役」が同時に「社員」であることは何ら不自然ではありません。
- 「取締役」であっても「General Manager」などの「社員」として雇用されることで、「社員」としてのAEPを取得することができます。ただし、その法人がネガティブリストに該当しない場合に限ります。ネガティブリストに該当する場合は、DOJ審査が入りますので、基本的には「社員としてのAEP」は取得できません。このあたりはややこしいので下のフローチャートを見てください。また、詳細はこちらの記事「就労ビザ(9G)がおりないケース」を参照してください
これらをまとめますと、ネガティブリストに該当しない法人(外資比率が40%を超える法人はネガティブリストに該当しません)の社長をやっている人が、「毎年毎年のDOLEとイミグレの手続きで辟易している」という場合は、「General Manager」などの「社員」としてAEPを申請すれば、3年のAEPが出る可能性が非常に高いです。
ネガティブリストに該当する法人(外資比率が40%未満でかつ資本金が20万ドル以下の国内マーケット向け企業はネガティブリストに該当します)の取締役をやっている人は、AEPは取れません。かわりに1年有効のAEP免除証明は取得できます。しかしこの場合、日々のオペレーションには参加できません。
これらをフローチャートにまとめたので、ご自身の法人がビザを取得できる法人なのかどうかを確認してください。