就労ビザ(9G)がおりないケース

オフショアマネジメントはフィリピンイミグレの認定代理店です。今までにおそらく100件近い9Gビザの申請を代行してきました。
9Gビザ(就労ビザ)についての基本的な解説です。

9Gビザを取得するには、AEP(就労許可)を先に取得する必要があります。その後に9Gを申請します。基本的に、9Gの有効期限はAEPと完全に同一ですので、9Gの可否や有効期限を決めているのは、実際にはAEPの発行元であるDOLE(労働局)ということになります。

AEPが出るかどうかは、会社の資本の比率で決まり、以下のようになっています。

資本の比率 AEP、9Gがでるかどうか
(1)外資が51%以上である企業(外国企業) AEPは簡単におりますので、9Gも出ます。
(2)フィリピン資本が51%以上である企業(ドメスティック企業) 申請者がその企業に必須であることを文書にて説明し、DOJから許可を得ない限りAEPはおりません
従って、9Gビザも出ません
一度はDOJの許可が出たとしても3回目以降は出ない可能性が高いです。

注意しなければならないのは、(2)のフィリピン資本が51%以上である企業を設立してしまった日本人や、そういう会社に就職してしまった日本人です。
この場合、AEPを申請すると、必ず「DOJの許可を取れ」と指導され、DOJに所定の書類を提出します。
詳細は割愛しますが、下記のような書類を提出します。

  1. その日本人が担うべきポジションが、フィリピン人では代替できない理由
  2. そのポジションが技術職(Technical Position)であること。管理、マネジメント、マーケティングといった言葉はTechnicalとは認められません。Technicalかどうかは、TESDAが判断します。
  3. その日本人が持っている専門的スキルを、経歴などで証明


つまり、DOLEが期待しているのは、例えばフィリピンに新しい交通システムができてその専門家として日本人が働く必要がある、とか、AIなどの最先端のIT技術を駆使したローカル企業を設立し、フィリピンにはその分野の専門家がいないので、助言や教育役で日本人が就労する、というようなケースです。
 単に、日本語を話す人が必要だから日本人を雇った、という程度の理由ではまずDOJの審査は通りません。「通訳者」として通ったこともありますが、いつも通ると思わないほうが良いと思います。

したがいまして、例えば、

  1. 日本人向け美容室を経営する会社を設立して日本人の美容師を雇う
  2. ジムのパーソナルトレーニングの会社を設立して、日本人のトレーナーを雇う
  3. 日本人向けの学習塾を設立して日本人の先生を雇う
  4. 日本料理屋を設立して、日本人のシェフを雇う

ということは会社設立は簡単にできても、実際には日本人を雇えない可能性があるので、慎重に進める必要があります。

結局、日本人が労働者として、ローカルマーケットを対象にしたビジネスを行うことは容易ではないのです。
会社を設立する時に、SEC登録しかやったことのないローカル弁護士や、多少の手続きを覚えたくらいの人は、こういったことまでは考えません。言われた通りに会社を設立するだけですので、トータルで、いろいろな問題点を検討してくれるコンサルタントに依頼したほうが良いでしょう。