経営者が知っておくべき税務と経理

会計・税務知識は英語と並んで経営者には必須

フィリピンの税金に関するルールはかなりシンプルであり、理解するのはたやすいです。覚えなければならないルールが少ないので、毛嫌いせずに取り組めば、全容を把握理解することは難しくありません。「経理・税務はよくわからない」と言って社員や会計士任せにしたりせずに、経営者も納税のシステムを理解するべきです。
私も起業してからしばらくは、全て会計士任せにしていましたが、あまりに杜撰な状態をみて心配になり、4年目くらいのときから、経理と税務を自分でも見るようになりました。いままでブラックボックスと化していた経理が、雲が晴れ渡るようにクリアになり、事業を行ううえでのストレスが激減しました。例えば、個人の所得税の計算ルールは小さな表一つしか使わないので、その表だけを手元に置いておけば済んでしまいます。
預かり金、資産、経費といった会計的な概念は、どの国へ行っても同じですので、日本でも会社を経営していた人であれば、それほど苦労はしません。しかし、突然フィリピンに派遣された人の多くは技術者であり、会計的な知識は全くないため、なかなか取り組みにくいです。しかし、フィリピンでマネジメントをする上で、英語と同じく会計・税務の知識は「必須中の必須」です。それは多くのトラブルが経理・税務周りで発生するからです。
経営者が経理や税務の実務を知っているか、知らないかの差は極めて大きいです。経営者が経理・税務に関する知識が無いことをスタッフが知っていれば、スタッフは経営者をなめてくる可能性があります。毎日の仕事が、適当にその場その場をごまかすだけのものとなる可能性があります。不正を働く者もでてきます。数年後に税務調査が入って損害を受けるころに、その社員も会計士もそこにはいないため、詳細を確認することも出来ません。杜撰な経理で、損をするのは経営者であって、社員や会計士の懐が痛むことはありません。ですので、きちんとやろう、というモチベーションがそもそもないのです。
「これは経費では無く資産ではないか」「この取引は源泉徴収をしておかないとまずいのではないか」「この請求書の書き方はおかしい」「このSSSは徴収額と一致しているのか一覧を見せろ」という一言が言える経営者の下であれば、社員による不正はまず発生しません。
社員だけでなく、取引先に対しても同様です。きちんとした企業であれば、VAT、源泉徴収などを理解し、それらを契約書や請求書に明記してくるため問題ありませんが、多くのローカル中小企業は、いい加減です。自分に会計知識がなければ、相手の契約書や請求書を鵜呑みにするしかありません。あとでVATや源泉徴収で損害を被るのは自分です。正しい知識を持ち、相手の契約書や請求書に指摘を入れられるくらいであれば、相手側もなめてくることはないので、トラブルに発展することが少なくなります。
フィリピンでは、まじめにやっていても、次から次へとトラブルが発生するのが普通なので、できるだけ知識で武装して、トラブルの発生箇所を未然に防いでおかなければ、事業に注力するリソースがなくなってしまいます。

99%の会計士はめちゃくちゃ

フィリピンのちきんとした会計ファームであれば問題はないが、それ以外のフリーランス会計士の仕事ぶりは全く杜撰です。100人の会計士がいたとして、日本人が満足するような仕事をしている人はおそらく一人いるかどうかでしょう。
具体的には、フィリピン人会計士に任せた場合、下記のような点に問題が見られます。

  1. ソフトウェアを使わず、自分のパソコンのエクセルで全ての作業をするため、数字の整合がとれていません。また、外部の人間が数値の根拠を知るには、その会計士のパソコンの中を開く以外に方法がありません。
  2.  資料に通し番号をつけるなどをしないため、ある取引が記帳済みなのか、記帳されていないのかを、知る方法がありません。ある買い物が、経費で計上したのか、資産で計上したのか、本人に聞く以外に知ることが出来ません。二重に入力されたとしても気づく方法がありません。
  3. 税務署の帳票などのファイリングができておらず、過去の記録を出してくれと言っても出てきません。
  4. 大事なときに連絡が取れません。都合が悪くなると音信不通になり、ほとぼりが冷めるころまで出てこなくなります。
  5. 実務的なルールに関する知識が、人によってバラバラで、何が正しいかよりも、過去に問題が無かった方法をずっと繰り返す方法をとります。

例えば、担当している会計士に、「受領スタンプの押された、直近の3年分のファイナンシャル・ステイトメントを見せてくれ」と言ってみるとよいでしょう。数時間のうちに送ってくる会計士は100人に1人もいません。99人の会計士は、存在するしないにかかわらず、調べもせずに「もうそっちの事務員に渡した」と言って終わりです。事務員に聞けば「もらっていない」となり、結局、どこにあるのか、提出されているのかどうかも分からないまま時が過ぎるのが、フィリピンの日常です。
では、ちゃんとやってくれる会計士を探せばよい、あるいは今の会計士にちゃんとやってくれるように言えばいいではないか、というとそれはほぼ不可能です。ちゃんとした会計士などいないと考えた方が早いし、今のやり方を変えてくれと言っても何をどう変えたら良いのか、普通の会計士には分からないのです。そもそもちゃんとやるというモチベーションが無いのです。
結局、数年間考えた結果が、「経理・税務は基本的に社内でやるしかない」というのが私の結論でした。そして、それは面倒ではあるが、難しくありません。自社の取引を一番知っているのは、その会社の人なので、外部に依頼してストレスをためるよりも、自社で処理をするのが一番合理的なのです。

フィリピンでは口座をチェックされません

日本で事業をやっている人が知ると驚くかもしれませんが、フィリピンの税務署は、法人、個人を問わず銀行口座を閲覧したり調査したりする権限がありません。そのため、フィリピンのローカル企業では、税務申告は、銀行の記録を元に行うのでは無く、いわば自己申告に基づいて行うのが普通です。
売り上げはセールス・インボイスやオフィシャル・レシートの発行をもって、はじめて売り上げと認識されるので、ローカル企業では、発行しなければ売り上げとして計上していません。支出については、業者からのセールス・インボイス(あるいはオフィシャル・レシート)の受領をもって、経費として認識されます(あるいは源泉徴収が必要な取引である場合は、源泉徴収の納付をしておかないと経費性を否認される可能性があります)。銀行口座記録との照合が行われることは一切ありません。もちろん、大手企業であれば、監査法人から通帳の提示を求められる程度です。
さらに、法人口座の開設が、かなり自由です。銀行を変えれば、いくらでも口座を開くことが可能です。一説には、銀行口座を調査する権限を税務署に与えようとしても、蓄財をしている政治家や財閥などから激しい抵抗にあうため、何年たっても実現しないと言われています。
銀行の通帳が、完全に外部への非公開資料となってしまっているので、フィリピンではセールス・インボイスとオフィシャル・レシート、源泉徴収の重要性が極めて高くなっています。フィリピン国内の企業が、インボイスとレシートの授受にこだわるのはこのためです。振り込みをもって領収証と見なせる日本とは大きな違いです。
また、損金として認められる範囲がきわめて小さいです。接待費は、粗利の1〜2%が限度、住宅や交通費は、会社が支給すると給与同等と見なされ、所得税がかかります。
このような状況から、ローカル企業では、税務署用の帳簿と、実際の帳簿の2通りを用意することが多く、それらを隠しもせず堂々と書類棚に置いてあったりします。ローカル会計士からは「これは申告する」「これは申告しない」というような言葉が頻繁に出てきます。
法人税を支払っているローカル企業は多くないようです。かといって外国企業はPEZAなどの免税優遇措置を受けるのが普通なので、税務署の側も、調査のしにくい法人税については、あまり本気ではないようです。法人税よりも、徴収が容易な、源泉徴収税や、書類の不備や遅延によるペナルティによる徴税に重きを置いているようです。1日の遅れで45%のペナルティを課したり、オフィシャル・レシートに記載された自社の社名が、ほんの少し間違っただけで、そのレシートを無効にし、経費性を否認したりするとも言われているように、形式には、日本では考えられないくらいに厳格です。
正しく申告をしている企業にとっては、この厳格主義は迷惑なものでしょう。

フィリピンの会計・税務の特徴

フィリピンでの会計・税務の特徴をあげてみます。

  1. 年間の報告回数がやたらと多い。
  2.  遅延した場合のペナルティが多額。
  3.  長時間列に並ぶ、システムに入力、CDロムの提出など、事務的に煩雑。
  4.  全体を説明した優れた資料が無い。

まず1つめの、税務報告回数の多さについてです。
毎月、必ず報告しなければならないのが

  1.  給与の源泉徴収 1601C これを翌月10日までに納税。
  2.  その他の源泉徴収 1601E これを翌月10日までに納税。
  3. VATの報告 2550M・Q これを翌月20日までに納税。
  4. 法人税の報告 1702Q これを四半期ごとに納税。

ここまでが基本です。これだけで、単純計算で年に40通となります。

さらに年度末だけの特殊な報告があるので、合計では年に45通ほどの報告を、全て漏らさず、遅延なく、提出しなければなりません。赤字であろうが黒字であろうが、資本金が10万円だろうが1億円だろうがこの回数に変わりはありません。

そして2点目が、締め切りに遅延した場合のペナルティ額の多さです。
納税額がゼロの書類を遅延した場合は、通常1通につきP1,000の罰金で済みますが、税額がゼロではない場合は、その税額の最大で45%のペナルティを覚悟しなければなりません。
例えば、従業員が50人もいると、従業員の所得税の納付だけで12万ペソほどの納税額になります。この納税をうっかり1日遅れたとすると、最大で、その45%にあたる54,000ペソのペナルティを課される可能性があります。
どの企業も、このペナルティを回避するために、万全の体制を整える必要があります。
10日までに、源泉徴収の税額を算出することはもちろん、当日の現金あるいは小切手の用意、窓口へ行く人間の手配、などです。15万ペソの小切手を持たせたら、本人が「体調が悪いから家に帰った」などと言いだし、納税が完了しなかったような場合でも、ペナルティはペナルティです。フィリピンの経理・税務の業務は、こいうったペナルティを食らわないように全ての報告を行うことに労力が割かれることがほとんどで、毎月の財務諸表の作成などは重視されない傾向があります。

3点目の特徴は物理的な煩雑さです。
2015年頃までは、eFPSと呼ばれるオンライン納税が使えるのはPEZA企業に限られており、大多数の企業は、毎月の納税日には銀行で支払いをしていました。税務署は、納税に来た人であふれかえっており、数百人の行列ができるような状態でした。納税日よりも前に行けば多少はすいているが、そもそもの締め切りが翌月10日となっており、これ以上早く納税するのは、なかなか難しいのが実情でした。税務署の窓口に並んでスタンプを受けた後は、今度は銀行の窓口に並ばなくてはなりませんでした。税務署では小切手や現金の受け取りは行っていないので、指定された銀行で納付しなければならないのです。セブでは、税務署で300人までしか受け付けてもらえず、それ以降の人は翌日に回されるという話も聞いたことがあります。
2020年頃から、eFPSというオンライン納税が一般企業にも広がり始めました。BPI、メトロバンク、RCBC、ユニオン・バンクなど多くの銀行がeFPSに対応しています(BDOは非対応)。しかしながら、オンラインでやるにしても、それはそれでストレスはついてまわります。自分が使うネット回線、税務署のシステム、銀行のシステムが全て正常に動いていなくては使うことが出来ません。日本とは異なり、脆弱なインフラのもとでのオンライン取引となります。
税務署指定のフォームの提出はもちろんのこと、そのほかにも税務署指定のソフトウェアで入力してデータをアップロードしなければならないだとか、その結果をPDFに印刷して保管しなければならないとか、ソフトウェアがはき出したデータをCDロムに焼き付けて提出しなければならないとか、洗練からはほど遠い、前近代的な事務作業が多く発生するのが特徴です。しかも、それらのルールが、場所により、ときにより、コロコロと変わるため、毎年、軽く混乱しているといった方が良いです。
そういった煩雑な提出方法を、法人の規模に無関係に義務づけているので、税務署が受け取るデータは膨大な量になるはずです。それらのデータを税務署側はきちんと管理できていないため、数年に一度、「申告書が出ていないので出しなさい」という内容のレターが届きます。相当杜撰なデータ管理をしているものと思われます。

3点目の特徴は、会計・税務に限ったことではありませんが、税務の実務を外国人にもわかるようにまとめた資料が、全く見当たらないという点です。税務署のWEBサイトを見ても、他の公的機関のサイトと同様、ほしい情報を見つけることは難しいです。公的機関のサイトは、「私たちのミッション」とか「組織の説明」「最近の通達」といった記事がほとんどで、一般的な実務に関しては、書かれていません。
かといってフィリピン人の会計士に、レクチャーしてもらおうと思っても、徒労におわるでしょう。フィリピンの人は、体系的に物事を説明することが苦手で、全体から徐々に詳細を説明するということができないため、いくら話を聞いてもよく分からないのです。突然ディテールから話し始めたり、外国人にわからない略語を使ったり、突如、言い訳を始めたりすることが多いです。結局、自分で研究するか、気の利いた日本人コンサルタントにレクチャーをしてもらいつつ、分からないところだけをフィリピンの人に聞く、というスタイルがよいでしょう。

経理を始める人が、まず覚えること、その1 発生主義。

私自身もそうであったように、フィリピンに進出する人のほとんどは、経理的な基礎が無いまま事業を始めます。そういった人たちが、知っておかなければならない最低限の会計知識について説明します。

その1つめは、「発生主義の感覚」を身につけなくてはならないという点です。発生主義というといかにも会計的で難しい感じがしますが、現金をいつ受け取ったか、いつ支払ったかというのは重要ではなく、経理では請求書の日付を採用する、という意味です。
例えば、あなたが5月分の請求書として「5月分 ××代 100万円」という請求書を6月2日に作成し、同日、日本に送ったとします。お客さんが7月15日にお金を振り込んでくれました。このような場合、100万円の売り上げがつくのは請求書を発送した6月でも、お金を受け取った7月でもなく、「5月」となります。請求書に「5月分」、と書いたので、そのお金がいつ振り込まれようが、その100万円の売り上げは5月分の売り上げとして計上されます。これが発生主義です。
逆に、請求書を業者からもらう場合も同様です。
5月分の家賃の請求書を、普段なら5月の10日頃にもらうことになっているのに、大家が怠慢で、6月の20日に送ってきたとします。その支払いを7月の1日に行ったとします。経理の知識が無い人だと、お金が出ていった7月の収支に記録をしてしまいそうですが、たとえ、請求書を受け取ったのが6月で、支払いを行ったのが7月であったとしても、5月分の請求書なのでその家賃は5月分の経費として記録します。これが発生主義です。これを英語ではAccrual Basisといいます。フィリピンではInvoice Basisと言った方が通じるかもしれません。
現金取引しか行わない小売業やレストランの場合は、請求書という概念がありません。物を提供し、同時にお金を受け取るので、お金の受け取った時が即ち、売り上げをあげた時です。
小売店であっても、パソコン屋などは、先に商品を納品し、請求書を送って、あとで代金を受け取るという売り掛け取引を行う場合があります。この場合は請求書の日付が売り上げた日となり、実際の金銭の授受が行われた日付は関係がありません。
私も起業してから3年くらいは、この感覚をわかっておらず、銀行から出入りする現金をまとめたものが、即ちその月の収支だと思っていました。小切手帳から出て行ったお金を集計して、毎月、儲かった、損した、とやっていました。それはそれで大切なのですが、最初に会得すべきは、発生主義の感覚です。

発生主義に慣れてくると、相手の請求書や、自分が作る請求書の「日付」に、自然に注意が行くようになります。そして、ダメな請求書ときちんとした請求書の見分けがつくようになります。
請求書に、発行日の日付が書かれていないものはまず論外ですし、Particular(明細の欄)に「何日から何日までの分なのか」が書かれていない請求書も失格です。
例えば、家賃、機器のレンタル、コンサルタントの顧問料、外注費などは「いつからいつまでの分の請求書なのか」ということが、請求書の日付とは別に、明記されている必要があります。あるいは、「○月分(for the Month of xxxx)」という記載が必要です。これらが記載されていない、あいまいな請求書を受け取ってしまうと、経理の担当者が困ってしまうので、そういう場合は、相手に「きちんと○月分と記載しろ」と言った方が良いでしょう。きちんとした会社、歴史がある程度ある会社であれば、そういった請求書の書き方がしっかりしているので、請求書の書き方を見るだけで、相手がこの国でどのくらいの期間、ビジネスをやっているかを容易に知ることが出来ます。

経理を始める人が、まず覚えること、その2 貸し借り

次に重要なのは、金銭の貸し借りの概念、即ち資産と負債の区分けを身につけることです。
貸し借りといっても、誰かにお金を借りる、従業員にお金を貸す、といったことだけが貸し借りではありません。日常の取引には、実に多くの貸し借りが存在します。
会社が外部にお金を貸している状態は、会計では「資産」といい、それも近いうちに戻ってくるべきお金であれば流動資産といいます。英語ではCurrent Assetです。
会社が誰かからお金を借りている状態は、会計では「負債」といい、それも近いうちに返さなければならないお金であれば流動負債といいます。英語ではCurrent Liabilityです。

例えば、従業員が病院へ行ったが、その費用を会社が立て替えたような場合。立て替えたお金は、会社の経費では無く、その従業員への「貸し付け」であるから、流動資産、すなわちCurrent Assetとなります。いずれその従業員から返してもらわなくてはなりません。
事務所を契約したときに支払った3ヶ月分の前家賃。これも「貸し付け」であるから、流動資産、すなわちCurrent Asset。これは将来、家賃で相殺するまで貸し付けた状態として残ります。
従業員から所得税を10万ペソ天引きしたが、よくよく計算するとただしい所得税は11万ペソだったので、税務署には11万ペソを支払った。この1万ペソは、従業員への「貸し付け」であるので、Current Assetです。どの従業員の計算が間違っていたのかを調べて、いずれその従業員から徴収しなければなりません。
親会社から、100万円が送金されてきました。これはそのうち返さなくてはならないお金であれば、「借り入れ」であるから、負債。そうではなく、なにかのサービスの対価であって、返さなくても良いのなら「売り上げ」です。
日本人が日本へ行くための飛行機のチケットを会社の小切手で支払いました。業務上の渡航であれば会社の経費ですが、お盆休みの私的な帰国であれば、その日本人への「貸し付け」であるから流動資産=Current Asset(フリンジベネフィットとすることもできるがここでは除外する)です。いずれその日本人の給与から差し引くか、現金で会社に返済してもらわなくてはなりません。
物を買ったときに支払う12%の付加価値税は、経費には参入できず「貸し付け」扱い、すなわち流動資産=Current Assetです。いずれアウトプットVATで相殺するか、相殺しきれなければ国から返してもらわなければなりません(フィリピンでは還付を受けるのはほぼ不可能であるのですが)。
コンサルタントに毎月1万ペソ(VAT抜き)を支払うが、15%を源泉徴収して8,500ペソだけ払うような場合、当面の間は未払いの1,500ペソは「借り入れ」、すなわち流動負債=Current Liabilityです。翌月10日に、税務署にその1,500ペソ支払って初めて、この「借り入れ」は消滅します。
ある会社に郵送で書類を送りました。その郵送費は、あとで相手から請求するのなら「貸し付け」=Current Assetだし、請求しないで自社の経費で処理をするのなら「経費」=Expenseです。

フィリピンでは「借り入れ」をcash advances from xxx、「貸し付け」をcash advances to xxxと表現することが多いです。Cash advanceという言葉を聞くと、従業員への給与の前払いをイメージしてしまうが、貸し借りは全てadvances(アドバンセス)と言うことが多いので、覚えておくと良いでしょう。なおこの言葉は会計用語としてはあまりふさわしくなく、フィリピン特有の言葉のようです。

ではなぜこの貸し借りの区分けをしっかり意識しなければならないのかというと、貸し借りは会社の損益に関係がなく、すなわち法人税に関係が無いからです。会社が大金を誰から借りたとしても、儲かったとはいわないので法人税が増えることは無いし、誰かに借りていた大金を返したからといって、その月が赤字になって法人税が減るということもありません。
会社が儲かったか損をしたかは、損益計算書(Profit and Loss、P/L、ピーエル)という表に現れ、一方、貸し借りの方は貸借対照表(Balance Sheet、B/S、ビーエス)に現れます。経費で処理するか、貸し付けで処理するかで、その数字が出てくるところが、全く異なるのです。

普段、企業の経理処理をしている時に、「これは借り入れですか」「これは貸し付けですか」というフレーズは頻繁に出てきます。
経理にセンシティブではない方の場合は、請求書をよく見ずに、相手の言うままに小切手を切ってしまい、あとで返してもらえるということ(貸し付け)を忘れてしまうことが多い。実際に、経理処理を代行している時に、「この領収証にはデポジットと書いてありますよ。何のデポジットですか」と聞くと、「コンサルティング代だと思い込んでいた。デポジットだとは知らなかった」というようなことがよくあります。

経理を始める人が、まず覚えること、その3 資産

資産とは、長い期間に渡って使うようなモノのことをいいます。パソコン、机、ソフトウェア、内装工事に払った費用などはすべて、長い期間に渡って使用するものなので資産として計上します。
これに対し、通信費、光熱費、人件費などは、その時に使ったらそれでおしまいなので、経費として計上します。
何か買い物をしたとき、それは資産として計上するべきなのか、経費として計上するべきなのかという点も、経営者が身につけておかなくてはならない感覚です。
さて、資産に計上するか、経費に計上するかがなぜ重要なのかというと、これもやはり法人税に関係するかどうかの違いがあるからです。
例えば、ある月に100万円の利益が出てしまったとします。フィリピンの法人税率は20~30%であるから、このままだと30万円の法人税を払わなくてはなりません。どうせ30万円を税金で払うのなら、5万円のパソコンを6台買って、利益を消してしまいたい、と思うのが経営者の常です。ところが、パソコンは資産ですので、フィリピンでは、5万円のパソコンを6台購入したところで、一気に30万円を経費に計上することが出来ません。3年かけて減価償却させていくのなら、その月は36分の1しか経費化できません(利益を消せません)。
何が経費でなにが資産なのかは、日本人の間でよく話題にあがります。
日本では10万円以下の物品であれば、経費として計上することが認められているようですが、フィリピンではそういった明確な基準はありません。資産に計上するかどうかの判断基準は、企業が自由に決めて良いという人もいるが、フィリピンでは「長い期間を使う物は、金額に係わらず資産」として計上するべきでしょう。では、500ペソで購入した延長コードも資産なのか?と問われると、これくらいは経費としてもよさそうです。概ね3,000ペソ以下であれば経費、それ以上であれば資産への計上を考えた方が良いでしょう。ただこれもケースバイケースで、2,500ペソの椅子を20脚購入した場合、これを全て経費としてよいか、と聞くと、NOと答える会計士の方が実際には多いでしょう。このあたりは、基準や原則云々よりも、フィリピン人の感覚を優先しておいた方が良いと思います。

経理を始める人が、まず覚えること、その4 源泉徴収

おそらくフィリピンで経理業務を行う上で、最大のそして最悪の特徴が、この源泉徴収システムです。
まず源泉徴収システムとはなにかというと、A社がB社に何かしらの費用を支払う際に、満額を支払わずに、例えば10%を引いた額である90%だけをB社に支払い、差し引いた10%はA社が責任をもって税務署に支払う、というシステムのことです。満額をもらえると思っていたB社はお預けを食わされるわけです。
日本でも、給与はもちろん、特殊な報酬(原稿料や弁護士報酬など)に関しては源泉徴収のシステムがあり、概念は同じです。しかしながら、フィリピンの場合は、源泉徴収をしなければならない支払いの種類がやたらと多く、定義も曖昧で、付随する事務作業が煩雑で、取引相手が個人の場合はトラブルになることが多いという特徴があります。
フィリピンの税務署は、この源泉徴収がきちんとされているかをチェックに熱心で、フィリピンでの会計士の仕事は即ち、源泉徴収漏れをなくすことが最優先であると言えます。

さて、フィリピンで事業を行う際、何が源泉徴収の対象なのかは、経営者自身が知っておく必要があります。普段、登場する源泉徴収は、それほど数も多くないので、全て「暗記」してしまった方が早いでしょう。
最も代表的な源泉徴収は、「家賃の5%」です。
10万ペソ(VAT抜き)の家賃を払う場合は、賃料の5%を差し引いた、95,000ペソだけを大家に支払います。満額を支払ってはなりません。そして差し引いた5,000ペソは、翌月の10日までにフォーム1601E(シックスティーン・オウ・ワン・イー)という書類と共に税務署に申告・納税しなければなりません。

主な源泉徴収をまとめると下記のようになります。実際の規定では、数十のカテゴリーが記載されているが、下記の3つだけ覚えておけば、実務上問題はありません。

  1. 弁護士、建築士、エンジニア、会計士などの専門家への報酬、役員報酬、コンサルタントへの報酬に対しては5%、10%、15%のいずれか
  2. レンタル的なものには5%
  3. 建設業者への支払いは2%

業者から請求書が来たときは、まず源泉徴収の必要性を真っ先に考える必要があります。源泉徴収義務者は支払う側にあるため、支払う側が税率を判断しなくてはなりません。請求書に最初から源泉徴収率を明記する習慣は無いため、いったいこの取引がどの税率を適用すべきなのかを払う側が判断しなくてはなりません。ここが源泉徴収システムの難しい点です。
万が一、源泉徴収をするのを知らずに満額を支払ってしまうと、相手から取り返すのは困難です。毎月、取引が継続する相手であれば、次回の支払いで調整することもできるが、そうでない相手、もう二度と会わないような相手の場合は回収することは難しいので、税務署に持って行くべきだった分は、自腹で払うことになってしまいます。請求書が来たら、そのまま支払ってはならず、一旦、会計士やコンサルタントに確認をしてから支払う癖をつけなくてはなりません。
さらに、法人が税務当局からTWA(Top Withholding Agent)の認定を受けると、この源泉徴収の幅はさらに広がり、

  1. 物品を買ったら1%
  2. あらゆるサービスに対し2%

という源泉徴収が加わります。
こうなると、消しゴム代から、ガソリン代から、電気代から、航空券まで全てに源泉徴収義務が及ぶので、請求書通りに支払える取引は、ほとんど無くなります。例えば、電話代の請求書を見て、税金の部分を除いた純粋なサービスの費用の部分から2%を引かなければならないので、経理担当は業者から来た請求書を、穴の開くほど分析しなくてはなりません。

先ほどの家賃の例に戻ります。税務署に5,000ペソを支払った後は、大家側に「あなたの5,000ペソを税務署に確かに払ってきましたよ」という書類を渡さなくてはなりません。いわゆる源泉徴収票です。この書類には2307という番号がついているため、2307(ツー・スリー・オウ・セブン)と呼ばれます。2307を受け取った大家は、この5,000ペソを次回の納税に使用することができます。この2307は、納税した税務署でもらってくるのではなく、税務署に納めてきたA社がパソコンで作って、署名して渡せば終わりです。
この2307という書類のやりとりにはさまざまな流儀があります。上記の例でいえば、95,000ペソを支払うときに2307を同時に渡してしまう会社もあるし相手から請求されるまで出さないこともあります。相手によっては、毎月、出してくれ、と言ってくるところもあるし、3ヶ月とか6ヶ月に1回だけ言ってくるところもあります。
源泉徴収が関係する取引が多い会社では、この2307の管理も容易ではありません。
気をつけて管理しないと、税務署に払っていないのに2307を渡してしまったり、二重に渡してしまったり、相手と自分の認識が「期ずれ」を起こしてしまい、何が何月分なのかわからなくなったりします。特に家賃やコンサルフィーは、毎月支払額が同じなので、ぱっと見ただけでは、判断がつかないのです。
「この支払いは源泉徴収が絡むのではないか?」という感覚を身につけ、請求書通りに支払わない。これがフィリピンの経理・税務では重要です。

経理を始める人が、まず覚えること、その5 源泉徴収とVAT

最後は、源泉徴収とVATを理解し、次のような例題が解けるようになれば、ほぼ完成です。

ケース1

「家賃の請求書として、VAT込み80,000ペソの請求が来ました。相手にいくらの小切手を払えば良いでしょうか。
相手はVAT業者であり、VATのオフィシャル・レシート(領収証)を発行してくれるものとします。」
VAT込み80,000なので、VATを除いた契約金額は、
80,000/1.12=71,428.57
この契約金額の5%分を80,000から引けば良いので、
80,000 – ( 71,428.57 x 0.05 ) = 76,428.57が相手に渡す小切手の額面です。
税務署に持って行くのは、71,428.57 x 0.05 = 3,571.43となります。
結局、トータルで80,000のキャッシュが出ていくことになります。

ケース2

「家賃の請求書として、80,000ペソ(但しVAT含まず)の請求が来ました。相手にいくらの小切手を払えば良いでしょうか。相手はVAT業者であり、VATのオフィシャル・レシート(領収証)を発行してくれるものとします。」
VAT含まず80,000なので、この80,000が、経理上認識する「真の契約金額」です。
この80,000にVATを加え、かつ5%を引いて渡せば良いので、
80,000 x 1.12 – 80,000 x 0.05 = 85,600
これが相手に渡す小切手の額面です。
税務署に持って行くのは、80,000 x 0.05 = 4,000となります。
結局、トータルで89,600のキャッシュが出ていくことになります。

ケース3

「家賃の請求書として、80,000ペソの請求が来ました。相手にいくらの小切手を払えば良いでしょうか。
相手は個人であり、いかなるオフィシャル・レシートも出てきません。」
実際には、頻発するケースです。
この答えは2通りあります。
2-1 相手が、5%の源泉徴収を了解している場合。
5%を引いて渡せば良いので、
80,000 x 0.95 = 76,000が相手に渡す小切手の額面です。
税務署に持って行くのは、80,000 – 76,000 = 4,000 です。
でていくキャッシュは80,000です。

2-2 相手が、5%の源泉徴収を納得しない場合。払う側が負担しろと言って聞かない場合。
契約金額の95%が80,000であるとして、もとの金額を逆算(グロスアップ)します。
80,000/0.95=84,210.53
これが経理上、認識する「真の家賃」です。
この95%が80,000であることを計算機で確認します。
84,210.53 x 0.95 = 80,000
税務署に持って行くのは、
84,210.53 – 80,000 = 4,210.53 となります。
結局、トータルで84,210.53のキャッシュが出ていくことになります。

ケース4

「コンサルタントの相談料として、30,000ペソの請求書が来ました。いかなる税金も、支払い側が負担することになっています。」
これも、フリーの弁護士やブローカーなどによく見られる取引形態です。
手取りで30,000ちょうどが相手の手取りになるように払う約束になっているので、これは払うしかありません。しかし、下記のことを確認しなければなりません。

相手からVATのオフィシャル・レシートが出てくる場合。

経理上、認識する「真の契約金額」をAとすると、
A x 0.85 + A x 0.12 = 30,000であるから、これを解き、
A = 30,927.84
これが真の契約金額です。コンサルタントに対する源泉徴収率として15%を採用しました。
税務署に持って行く15%は、
A x 0.15 = 4,939.18
となります。
結局、トータルで34,939.18のキャッシュが出ていくことになります。

相手からVATのオフィシャル・レシートが出てこない場合。

経理上、認識する「真の契約金額」をAとすると、
A x 0.85 = 30,000であるから、これを解き、
A = 35,294.12
これが真の契約金額です。
税務署に持って行くのは、
35,294.12 – 30,000 = 5,294.12
となります。
結局、トータルで35,294.12のキャッシュが出ていくことになります。

このように、契約書にどのように記載されているか、相手が源泉徴収に関してどういう認識でいるかによって、出て行くキャッシュに大きな違いが出てきます。相見積もりを取るときなどは、目先の金額にとらわれず、税金についてどう書かれているかもよく確認して比較しなければなりません。
源泉徴収とVATについて熟知していれば、相手から契約書が来た時点で、相手に対し「オフィシャル・レシートは出るのか。」「VAT業者か。」「源泉徴収をここから5%引くが良いか」といった確認をすることができまし。特に、源泉徴収については、知識がない取引先も多く、もめることが多いです。
契約締結時にこういった質問をしてくるのは、フィリピンでの取引に熟知している人だけですので、質問をした時点で、相手側も「こいつらは、ベテランだな。」ということを察知します。そうすれば、相手がこちら側に対し一目置くことにもなり、その後の取引でトラブルが少なくなります。
フィリピンでは、わざわざ自分に不利になることを相手に説明するという習慣はないので、相手方が、VATや源泉徴収について、きちんと説明してくれることはありません。署名をしてしまえば、あとでひっくり返すのは不可能です。

経理を始める人が、まず覚えること、その6 税金

次は、法人がおさめなければならない税金について理解をしなければなりません。税金関してフィリピン人にレクチャーをしてもらおうと思っても、ほとんどの場合、徒労に終わるでしょう。フィリピン人は説明が下手で、物事を体系的に説明することが苦手だからです。
納めなければならない税金の種類は、税務署に提出する書式の番号と一緒に覚えてしまうのが最も効率的です。数が少ないので、簡単に覚えることが出来るし、フィリピン人スタッフは、書式の番号で会話をすることが多いので、番号を覚えなければ会話が通じなくなります。

書式1601C 給与の源泉税

従業員から天引きした所得税の納付です。
例えば、給料15,000の従業員が5人いて、給与計算の結果、それぞれから1,500ペソずつ天引きしたとします。天引きした所得税の合計額7,500ペソは、会社が預かっている状態なので、翌月の10日までに1601Cと呼ばれる書類とともに税務署に納めなければなりません。せっかく給料を払ったらと思ったら、また10日にまとまった額の小切手を切らされるので、「また多額の税金を払わされた。」と思う人が多いが、これは感覚としては間違っています。従業員から天引きした額を、会社がまとめて税務署に届けているだけなので、会社のお金が減っているわけではありません。
1601CのCは、Compensation(給与)のCです。税務署の書類にCがついていれば全て従業員の給与がらみです。

書式0619E その他源泉税

前項までに述べた、業者から徴収した源泉徴収を、まとめて税務署に持って行くのが、この1601Eである(2020年から0619Eへと名称が変更になりました)。別名、Expanded Withholding Tax、略してEWT(イー・ダブリュ・ティー)と呼ぶ人もいる。日本語にすれば、拡大源泉徴収となるが、日本語にするとかえって分かりづらいので、1601E(あるいは0619E)という書類の名前で覚えてしまった方が、社員とのコミュニケーションにも役立つため、よいでしょう。
例えば、その月は、家賃を払う大家から5%、会計士から15%、工事業者から2%、役員報酬から10%を徴収したとします。この徴収した合計額は、会社がいわば預かっている状態なので、翌月の10日までに、1601E(あるいは0619E)と呼ばれる書類と共に、税務署に納めなければなりません。
預かっているお金を税務署に持って行くだけなので、この税金も「経費」ではありません。これも前述の1601Cと同じように、まとまった現金が出て行くので、つい、税金を払わされている感覚になるが、1601E(あるいは0619E)で払う分は、支払いから引かれている分です。
1601E(あるいは0619E)のEは、ExpandedのEです。

書式2550M、2550Q VAT申告

VATの申告書です。
例えば、下記のような例を考えてみます。
VAT込み11,200ペソの物品を購入しました。このとき、業者に徴収されたVAT1,200ペソをInput VATと呼びます(お金を払っているのでアウトプットと思ってしまうが、資産に加わったという意味でInput VATといいます)。
一方、フィリピン国内で、他者に対してサービスを提供し、これに対する売り上げがありました。請求書には、VAT込み33,600と書きました。このとき、お客さんから徴収する3,600ペソをOutput VATといいます。
結局、払ったVATが1,200、預かったVATが3,600なので、差し引き2,400を余分に預かっていることになります。この2,400を国に納めるのが、2550Mと2550Qの申告です。
売り上げの方は、わりと容易に把握できるが、支払った方のVATを知るには、全てのレシートをひっくり返して集計しなければならないので、手間のかかる作業です。
1月と2月はそれぞれ2550M、3月は四半期の締めなので2550Mではなく、2550Qを提出します。同様に、4月と5月はそれぞれ2550M、6月は再び、四半期の締めなので2550Mではなく、2550Qを提出します。以下、7月、8月は2550M、9月が2550Q、10月、11月は2550M、12月が2550Qとなります(以上、決算日が12月31日の場合です。決算日によって変わります)。
2550MのMは、MonthlyのM、2550QのQはQuarterlyのQなので覚えやすいです。
締め切りは、Mは翌月20日、Qは5日余分に日にちがあり、翌月の25日です。
また、2550Qは、フォームの提出のほかに、業者のTINナンバーなどを入力したデータをCDロムに焼き付けて提出しなくてはなりません。フォームであれば、会計士との間でPDFをメールでやりとりすれば済むが、CDロムとなると郵送がからんでくるため、事務的に煩雑です。CDロムへの焼き方がわからない、CDのメディアが手元に無い、CDライターが壊れている、LBCが近くに無い、LBCがなかなか配達に来ない、CDメディアが破損した、など様々なトラブルが起きます。個人的には、無くなってほしい手続きの一つです。

書式1702Q、1702 法人税

これが、いわゆる法人税です。Qがついていることからも分かるように、四半期ごとに法人税を計算して納付します。1〜3月の分は1702Qを15月31日、4〜6月の分は1702Qを8月31日、7〜9月の分は1702Qを11月30日頃に設定される期限までに納付します。10〜12月の分の申告は存在せず、代わりに、1月〜12月の通年の法人税を1702という書類と共に、翌年4月15日までに納付します。
PEZA企業であれば、法人税率が0%もしくは5%なので、0%であれば納付する税額は常にゼロです(その企業の事業活動が全てPEZAに認定されたものであると仮定)。

他にもフリンジネフィット税、印紙税、1604F、1604CFなどいろいろありますが、とりあえず上記の4種類の税金の名前と期日、どういった税金なのかだけを覚えていれば、実務上はなんとかなります。