つぎのような売上に対して、VATを加算する必要があるかどうかという問題です。
日本に住む人がフィリピンに来て語学留学をした。その留学費用は円建てで書いた。非居住者かつ外貨建て請求書なのでVATは加算しなくてよいのか
日本の法人がフィリピンに引っ越し荷物を送った。フィリピン国内の家財道具の移動サービス費用として、請求書をドル建てで書いた。非居住法人かつ外貨建て請求書なのでVATは加算しなくてよいのか
VATに関する通達は非常に多く、RR 14-2005, RR 16-2005, RR 13-2018, RR 9-2021にかかれています。
税法108には
108(B)(1)フィリピン国外で事業を行う他の人のための商品の加工、製造または再梱包で、その商品がその後輸出される場合、サービスの対価が許容される外国通貨で支払われ、Bangko Sentral ng Pilipinas (BSP) の規則および規制に従って会計処理された場合。
108(B)(2)前項以外の役務で、フィリピン国外で事業を行う者、または役務の提供時にフィリピン国外にいる事業を行わない非居住者に提供され、その対価が許容される外国通貨で支払われ、フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas)の規則に従って会計処理されたもの。
と記載があります。
税務調査において、BIRにVat ZERO Ratedを認めさせるには、下記の4点を証明する必要があります。
- 外貨建てでてあること。
請求書を必ず外貨建てて書かなくてはなりません。 - 国外に存在し、かつフィリピン国内で事業を行っていない相手に対する売上であること。
相手が法人であれば、相手国の公的機関の登記情報などに相手の法人名が掲載されていることを証明しなくてはなりません。
かつ、フィリピンのSECに登録されていないことを証明しなくてはなりません。 - 中央銀行の規則によって会計処理されていること
BIRは、一般的に海外送金証明書を要求します。 - サービス提供時、もしくは物品のハイバイ時にその相手がフィリピン国内にいなかったこと。
立証責任は納税者側にあるため、税務署は一旦、全てを否認(VATを払えと主張)しますので、それに対し、完璧に証明できなければ負けとなります。
【追記】
2024年1月10日にBIRより出されたRMC 5-2024によりますと、ある最高裁での判例を引用して、「クロスボーダー取引において、いままで役務が行われた場所で判断されていたのが役務を受け取った場所で判断する」と書かれていますので、上記の例はもちろん、Google、Microsoft、DropBox、Chatwork、XEROといったクラウドベースのサービスも最終源泉税と最終VATの対象になる可能性があります。