税務署に関するトラブル

私自身および顧客を含めて、まだ今のところ税務署(BIR)と大きなトラブルが発生したことはありません。

しかし、一般的には最もやっかいなのが税務署でしょう。
フィリピンの税務署がやっかいなのは、納税の締め切りがとにかく多いこと(年に40回近い報告が必要)、源泉徴収のシステムが複雑であることです。
PEZA以外の一般企業であれば、税務署の税務調査は必ず入るといわれており、事業を始めて4年目、5年目くらいになると、そろそろ来ると思った方が良いでしょう。
だいたい3年前の納税について調査が入ることが多いようです。

法外なペナルティを命令されても、交渉を重ねれば数分の1まで金額が下がります。しかし1度でもアンダーテーブルで解決をしてしまえば、来年から税務署の定期訪問コースに組み込まれるため、慎重な対応が必要です。

詳細は税務の章で詳述しますが、申告回数がやたらと多いです。毎月10日、25日に納税の締め切りがあり、1日でも遅れれば最大45%のペナルティを支払わなくてはならないため、神経を使います。
フィリピンで事業を始めたばかりの方の多くは、「しばらくは赤字だから、年に1度くらい、報告のみしておけばいいんじゃないの?」と思い込んでいる方もいるが、とんでもない話です。税務署登録をしたその翌日から、地獄の報告義務が始まるのです。
計算自体は日本よりもはるかにルールが少なくシンプルなのですが、事務処理は煩雑で洗練されていません。
何の意味があるのか、と思ってしまうような届けがいくつか存在します。

月2回の納税日は、半日使って長蛇の列に並ばなければならず、セブでは、先着300人までしか納税を受け付けてくれないらしく、早朝から「並び屋」を並ばせるのが通例となっているようです。運悪く301人目となった人は、その日に納税に来ているにもかかわらず、遅延となり、ペナルティを課されるというめちゃくちゃぶりです。(2014年頃の話で、オンライン申請が進んだ現在(2022年)ではこういった行列はありません)。

源泉徴収に至っては、フィリピンで事業を行っている日本人経営者のうち、これを理解している人は殆どいないといえるほど複雑です。しかし、一番ペナルティを食らいやすいのが源泉徴収の部分であるため、避けて通ることはできません。

専門家曰く、これらフィリピンの納税環境は世界でも最悪だとのことです。

この記事は2014年頃に作成したものの転載です。物価、時代背景などは当時のままですのでご了承ください。