外貨で請求書を書けばVAT回避できるのか

売上に対して、VATを加算する必要があるかどうかという問題です。

日本に住む人がフィリピンに来て語学留学をした。その留学費用は円建てで書いた。非居住者かつ外貨建て請求書なのでVATは加算しなくてよいのか
日本の法人がフィリピンに引っ越し荷物を送った。フィリピン国内の家財道具の移動サービス費用として、請求書をドル建てで書いた。非居住法人かつ外貨建て請求書なのでVATは加算しなくてよいのか

 

このあたりの税法は、”PH TAX CODE 108″ ”RR 9-2021″ “RR 15-2021″というようなワードで検索すると、大手監査法人が発するVATに関する情報を取得することができます。

流れとしては、実際にPhilippinesの税法108には

108(B)(1)フィリピン国外で事業を行う他の人のための商品の加工、製造または再梱包で、その商品がその後輸出される場合、サービスの対価が許容される外国通貨で支払われ、Bangko Sentral ng Pilipinas (BSP) の規則および規制に従って会計処理された場合。
108(B)(2)前項以外の役務で、フィリピン国外で事業を行う者、または役務の提供時にフィリピン国外にいる事業を行わない非居住者に提供され、その対価が許容される外国通貨で支払われ、フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas)の規則に従って会計処理されたもの。

と記載があります。

その後、この件についてはドテルテ政権の2021年に数回のメモランダムが発行され、不安定な解釈状態が続いているようです。

難しいことは私にも理解できませんので大まかな流れだけを掴むと、とにかくフィリピン政府はVATを取りたい、ということが大前提としてあります。
そのことは、フィリピン政府が、PEZA企業に対するサービスに対してもVATを取ろうとしているということからも強く伺えます。たとえば、PEZA企業に対して会計サービスを行った場合、現在ではVAT加算というルールになったため、弊社でもPEZAは企業に対しVATを加算しています。

PEZA企業に対してですら、これだけVATを取ろうという中、冒頭にあげたような例、すなわち語学留学や家財の移動など便益を国外に持ち出せないようなケース、で税務署がVATを請求しない理由はそらくないだろうと思います。

少なくとも2020年より以前であれば、争えばギリギリ行けたかもしれませんが、2021年以降は戦ってもまず勝てないでしょう。

VATの解釈違いは金額が大きいだけに恐ろしいことになります。ましてや、相手はフィリピンの税務署ですので、相手が一旦「取る」と決めれば無理難題を要求してくることは目に見えています。

疑わしきは安全側に。フィリピンで5年10年と続けていくためにはこれしかありません。