ビジネス・パーミットとは【手順】

ビジネス・パーミットとは市の営業許可

ビジネス・パーミットとは、バランガイ(町内会)及び市から受ける営業許可です。日本では、一般のIT起業であれば、市町村から特段の営業許可を取得する必要はありませんが、フィリピンではバランガイ(町内会)及び市から営業許可を請ける必要があり、毎年1月に更新することを義務付けられています。売上に応じた事業税を市に支払う必要があります。

  1. ビジネス・パーミットは会社設立3点セットの2つ目。市からもらう営業許可です。何をやるにも、このビジネス・パーミットが必要となります。大変重要な許可です。
  2. ビジネス・パーミット(営業許可)は拠点ごとに取得しなければなりません。事業所が3ヵ所あったら、3ヵ所とも取得しなければなりません。
  3. 拠点が増えたら、その一つ一つに対して、ビジネス・パーミットが必要です。10階と12階にオフィスがあるなら、その両方でビジネス・パーミットが必要です。
  4. ビジネス・パーミットは毎年1月に更新です。フィリピンじゅうの全ての企業がこの時期に更新申請をするので市役所は大混乱となります。
  5. 1月になったら、去年1年間の売上げの0.75%程度のキャッシュを、用意してください。これは税務署に払う法人税とは別です。税率は、市と業種によって異なります。初年度なら資本金に掛け算した金額を暫定的に支払います。
  6. 毎年1月に払う事業税は、分割払いも可能です。忘れてしまう可能性が高いし、管理する書類が増えるため事務的に注意が必要です。
  7. BGCのビジネス・パーミットは、初年度はなぜか四半期ごとに事業税を払わなければなりません。どうしてこんな面倒なことを考えついたのかは不明です。
  8. ビジネス・パーミットがなかなか取れない理由はただ一つ。オキュパンシー・パーミットが取りにくいからです。日本で言う検査済証です。取得できずに嫌気が差し、撤退する会社も多いです。
  9. バーチャル・オフィスでもビジネス・パーミットは問題無く取れます。物理的なオフィスが無く、引越しをしなくてよいから、便利です。
  10. ビジネス・パーミットは市からもらう事業許可ですが、いきなり市へ行っても受け付けてくれなません。まずは地元のバランガイの許可を取ることが最初です。バランガイというのは、町内会みたいなものです。
  11. ビジネス・パーミットを申請すると、その場所で事業をやって良いのかどうかをチェックされるます。日本でいう用途地域みたいなものです。コンドミの一室でビジネス・パーミットを取るのことは、例外を除き、できません。
  12. ビジネス・パーミットを取るには、その場所の賃貸契約書、もしくは自分で所有していることを示す書類が必要です。ということは、又借りしたりして賃貸契約書が存在しない場合は、ビジネス・パーミットを取れないということになります。
  13. 誰かのオフィスを間借りしてビジネスパーミットを取ることもできます。ただし、その貸主が大家として市役所のデータベースに載っていることが条件となります(Lessor’s Permit)。これを持っていない人が勝手に賃貸契約書を作っても市役所は認めてくれません。
  14. ビジネス・パーミットを取ろうとすると、市役所以外にもいろんな組織からパーミットを取る必要が出てきます。マカティならMACEA、BGCならボニファッショ・エステートといった組織です。
  15. ビジネス・パーミット取得に必要なものは、大まかに言って①SEC登録 ②賃貸契約書 ③バランガイの許可 ④Occupancy Permitです。
  16. ビジネス・パーミットを取得するときになって初めて「賃貸契約書に対する印紙税」というものを知ることになります。印紙税は公証をを受けた日の翌月5日が期限ですが、誰も教えてくれません。金額的にはペナルティを加えても大きくありません。

ビジネスパーミット取得の流れ

登記、ビジネス・パーミット、税務署登録の3つが、事業開始のための3点セットとなっており、どんな事業であってもここまでは必ず済ませなくてはなりません。その中核をなすのが、ビジネス・パーミットです。このビジネス・パーミットは、ビザやAEP、SSSなどの登録など、他の許認可を取得する際に必ず提示を求められる、最も重要な許認可です。
また、支店や店舗を多くもつような事業の場合、登記は1つでよいが、このビジネス・パーミットは全ての拠点ごとに取得しなければなりません。
登記が終わり、事務所の契約が済んだら、バランガイの事務所へ行き新規ビジネスのクリアランスを取得します。その後、市役所へ行き、ロケーショナル・クリアランスおよびビジネス・パーミット(事業許可)を取得します。

バランガイとは、フィリピンにおける最小行政単位で、日本で言う町内会のようなものです。
このバランガイでのクリアランスと、市役所のパーミットをひっくるめてビジネス・パーミットと呼ぶことが多いです。なおビジネス・パーミットは、市長の名で発行されるため、20年ほど前まではメイヤーズ・パーミットとも呼ばれていました。

さて、ビジネス・パーミットがすんなりとれるかどうかは、オキュパンシー・パーミットという1枚の紙があるか無いかにかかっています。もし無い場合は、手間と時間が約10倍に増えると思った方が良いでしょう。オキュパンシー・パーミットとは、日本語にすれば占有許可であり、「建物や内装の工事は正しく行われたので使っても良い」という許可です。このオキュパンシー・パーミットの取得は容易ではありません。しかしながら、一般的に、オキュパンシー・パーミットの有無を意識しているフィリピン人は少なく、ビジネス・パーミットを取ろうとして初めてこの名前を耳にする人も多いようです。
このため、「簡単にビジネス・パーミットがとれるからダイジョウブ」と言われて賃貸契約をしたのに、いつまでたってもオキュパンシー・パーミットが取得できず、結果として、ビジネス・パーミットが取れないというケースが多いです。貸す側も借りる側もよく分かっていないことが多いのが、このオキュパンシー・パーミットです。オキュパンシー・パーミットの詳細についてはこちらです。

バランガイへ行く

ビジネス・パーミットを取得するための第一歩はバランガイ・オフィスへ行くことです。
バランガイというのは町内会のようなもので、どんな都市にも存在します。アヤラアラバンのようなビレッジの場合は、ビレッジの事務所がバランガイ・オフィスとして機能しています。ボニファッショでは、ボニファッショ・エステートと呼ばれる管理事務所がバランガイ・オフィスとして機能しています。名称は様々ですが、必ずバランガイ・オフィスとしての機能を請けおっている事務所が近所にあるはずなので、アドミなどに聞いて教えてもらいます。
「新規ビジネス」と「新規工事」は必ずバランガイに届け出をしなければならないことになっています。
内装工事を新たに行うのであれば、「新規工事」、オキュパンシー・パーミットがすでにありビジネス・パーミットを取得する段階であれば、「新規ビジネス」の届けとなります。
バランガイでの手続きは、通常数日で終わり、費用も2000ペソ程度と安価です。
ただし、届けが遅れると「無許可営業として1日あたり50ペソ」というようなペナルティを課されることがあるので、事業を始める際は、とにかく真っ先にバランガイ・オフィスへ行った方が良いでしょう。
バランガイで手続きが終わると、クリアランス、ビジネスプレートと呼ばれる車のナンバープレートのようなもの、1年間有効のステッカーのようなものをくれます。これらは、事業を行う場所に掲示しなければなりません。

バランガイ・オフィスでの手続きが終わったら、市役所のロケーショナル・クリアランスの部署へ行きます。

ロケーショナル・クリアランスとは

ロケーショナル・クリアランスとは、日本で言う用途地域のようなもので、その場所でその事業を行って良いかどうかの適性確認です。フィリピンでは、事業を行って良い場所と、そうでは無い場所が厳格に管理されており、マンションの一室や個人住宅などで事業を行うことは出来ません。
ロケーショナル・クリアランスの部署に申請をすると、その部署の担当者が、事業をする予定の場所まで足を運びます。問題が無ければ、ロケーショナル・クリアランスが発行されます。
この手続きも容易で、数日で完了します。
ロケーショナル・クリアランスの次は、いよいよビジネス・パーミットです。

ビジネス・パーミットの申請

バランガイ・クリアランスと、ロケーショナル・クリアランスを取得できたら、申請書、賃貸契約書、オキュパンシー・パーミットなどとともに、ビジネス・パーミットを申請します。
書類に不足があれば受理されることはありません。逆に、受理されれば必ずおります。
無事、書類がそろい、受理されると、市役所の窓口が支払いの計算書をくれます。ここまで来れば、おりたも同然です。一度会社に戻り、小切手を用意して、費用を支払します。支払いが済んでから数日でビジネス・パーミットが発行されます。1枚の紙とともに、ふたたびビジネス・プレート(車のナンバープのようなもの)をくれるので、双方ともに事業所に掲示します。

ビジネス・パーミットの費用は、

  1. 前年度の売り上げに応じた事業税(IT系であれば売り上げの75%程度。業種・市によって税率は異なる。)
  2. 初年度であれば、資本金をベースに算出した事業税。
  3. ゴミの収集費用。
  4. 火災保険料

などで成り立っています。100平米程度の標準的なITオフィスで、5,000ペソから8,000ペソ程度です。計算根拠は明確ではなく、事前に正確な費用を知るのは困難です。

さて、これで登記、ビジネス・パーミット、税務署登録という3点セットのうちの2つまでが完了しました。次は税務署登録へ進みます。