BIRが発行した税法改正(RR)の要約文【2020年】

目次

RR No.34-2020 関連者間取引申告書の提出ルール改正

この規則は、関連者間取引の報告書(RPT Form)と移転価格ドキュメンテーションの提出に関するルールを改正しています。RPT Formの提出が義務付けられる納税者の範囲が明確化され、移転価格ドキュメンテーションの提出は一定の取引金額基準を設けられました。関連書類は税務当局の求めに応じて後日提出する必要があります。関連規定への違反は罰則の対象となります。本改正は、多国籍企業の適正な課税と移転価格税制の実効性確保を狙いとしています。

RR No.33-2020 2018年分任意納付制度の適用延長

この規則は、2018年課税分の過少納付税額を任意で納める制度(VAPP)について、その適用期限を2021年6月30日まで延長しています。適用要件なども一部改正され、制度利用後は2018年分について通常の税務調査は行われません。ただし、過少申告や源泉徴収不納付の確実な証拠がある場合は、例外的に調査対象となる可能性があります。制度不適用の通知については納税者に理由が開示され、不服申立ても可能です。本制度の延長により、納税者の協力促進と滞納整理が期待されています。

RR No.32-2020 滞納税額amnesty制度の適用延長

この規則は、2019年に導入された滞納税額のamnesty制度について、その適用期限を2021年6月30日まで再延長しています。対象は2017年以前の課税年度の税負債で、一定の場合にはさらなる延長も可能とされています。本措置は、納税者の税負担を軽減し、コンプライアンス向上につなげることを目的としています。

RR No.31-2020 源泉徴収義務者の判定基準の改正

この規則は、一定規模以上の企業や個人事業者を源泉徴収義務者(トップ源泉徴収義務者)と位置付ける際の基準について改正を加えています。具体的には、年間売上高または仕入高が一定金額以上の納税者を該当者と判定する売上高基準を、課税事務所の規模に応じて金額を変えるよう見直しが行われました。新しい基準は公示され、翌月から適用されます。源泉徴収制度の適正運用が狙いです。

RR No.30-2020 オンラインカジノ事業者への課税

この規則は、オンラインカジノ事業者に対する新たな課税制度を導入しています。オンラインカジノの売上高の5%の賭博税と、非ゲーミング収益に対する所得税・付加価値税などが課されることになります。事業者は収益を現地通貨に換算して申告・納税する必要があります。一方で、ライセンス更新の遅延やデータ隠匿などの違反行為には、重い罰則が設けられています。この新制度の目的は、オンラインカジノ事業の適正な課税とコロナ危機対策費の確保にあります。

RR No.29-2020 新型コロナ医療従事者等への支援金の非課税

この規則は、新型コロナウイルス感染症の医療従事者等への一定の支援金について所得税が非課税となることを定めています。対象となるのは、公立病院や民間企業からの退職金、感染リスク手当、危険手当、感染や死亡時の補償金などです。退職金の非課税には一定の再就職制限があり、支給状況は納税者番号を伴って報告が義務付けられます。本措置は、コロナ禍での医療体制の維持と従事者への金銭的インセンティブ付与を狙いとしています。

RR No.28-2020 新型コロナ関連物資の輸入税免除

この規則は、新型コロナウイルス感染症対策として輸入される医療品や医療機器、防護服などの物資について、輸入時の付加価値税や物品税、手数料が免除されることを定めています。対象品目は規則に列記されており、商工省に国産品が不足していることを証明されれば、免税の適用を受けられます。また、政府機関などへの寄付についても寄付税が非課税となります。ただし、この措置の適用期限は2020年12月19日までとされています。

RR No.27-2020 付加価値税還付申請期限の再延長

この規則は、新型コロナウイルス感染症の影響で、付加価値税の還付申請期限の延長措置について、更なる延長を設けています。2018年課税期間分の申請期限が2021年2月15日まで延長され、一部地域では外出制限解除後30日が期限とされます。還付手続き期間の90日ルールについても、一時的に停止が認められています。還付申請件数の抑制と納税者への配慮が狙いです。

RR No.26-2020 学校向けPC等寄付の非課税措置

この規則は、公立学校で使用されるパソコン、ラップトップ、タブレット端末などの寄付について、一定の税制上の優遇措置を設けています。優遇措置として、寄付金の損金算入、寄付税の非課税、輸入時の付加価値税の非課税が認められます。ただし、適用期間は2020年9月15日から12月19日までに限定されています。輸入時は税関への申請手続きが免除され、国内寄付の場合も付加価値税がかからなくなります。寄付品の取得原価が寄付金額の基準となります。公立学校のIT環境整備を後押しすることが狙いです。

RR No.25-2020 2020-21年の欠損金の繰越控除期間の延長

この規則は、2020年と2021年の事業年度に生じた欠損金について、従来の9年間から5年間に繰越控除期間を延長することを定めています。新型コロナウイルス感染症の影響で発生した欠損について期間延長が認められ、将来の所得から控除できる機会が広げられました。ただし、各年度の欠損金計上額と控除状況については、税務申告書と財務諸表への記載が義務付けられています。事業継続支援と納税環境の改善を狙いとしています。

RR No.24-2020 新型コロナ危機下の融資延長時の印紙税免除

この規則は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて実施される住宅ローンや自動車ローン、クレジットカード支払いなどの融資延長や債務再編について、2020年12月31日までの間は印紙税が免除されることを定めています。ただし、金融機関間の融資には印紙税が課されます。この措置は、感染拡大防止と経済活動維持の両立を図ることを目的としたものです。

RR No.23-2020 IPO時の株式譲渡課税の廃止

この規則は、株式公開(IPO)時の株式譲渡について課されていた税(127条B)を廃止することを定めています。この廃止により、非公開株式を公開する際に発生する譲渡所得に対する課税がなくなります。IPO促進と企業の資金調達環境改善を目的としています。

RR No.22-2020 申告過少時の納税者の手続保障強化

この規則は、税務当局が納税者に申告過少の事実を通知する際の手続きについて、納税者の権利保護の観点から見直しを行っています。具体的には、税務調査の結果、申告過少が認められた場合に納税者への書面通知が義務付けられ、一定期間内に納税者から反論の機会が与えられることになりました。その後に税額の追徴通知が行われる手順となります。このように納税者が自身の主張を十分に説明できる機会を設けることで、手続的公正性を高める狙いがあります。

RR No.21-2020 2018年分の任意納付制度

この規則は、2018年課税分について納税者が任意で過少納付税額を納める制度(VAPP)を定めています。対象となるのは所得税や付加価値税、源泉徴収税など主要税目で、一定の計算方法により納付額が決められます。ただし、既に追徴課税や訴訟が行われたケースは除外されます。この制度への申請期限は2020年12月31日までで、手続き完了後は2018年分について通常の税務調査は行われません。納税コンプライアンスの向上と徴収コストの削減が狙いです。

RR No.20-2020 非上場株式の時価算定ルール改正

この規則は、がん、精神疾患、結核、腎疾患の治療薬を、既に非課税となっている糖尿病、高血圧、高コレステロール治療薬に追加し、付加価値税が非課税となることを定めています。ただし、対象薬品は保健省の承認リストに含まれるものに限られます。また、この規則の適用により既に納付された付加価値税については還付される手続きも設けられています。この改正は2020年1月の関連法改正を受けて行われたもので、国民の医療費負担軽減が狙いです。

RR No.19-2020 関連者間取引報告の新様式導入

この規則は、課税時の非上場株式の時価評価方法を改正しています。従来の一定の時価推定方式に代わり、直近の財務諸表に基づく簿価を基準とする方式が導入されました。具体的には、普通株は純資産価値方式、優先株は liquidation value方式が採用されることになります。この改正により、実態に即した時価評価が可能になり、株式譲渡損益の適正な課税が図られる見込みです。

RR No.18-2020 生活習慣病治療薬の非課税範囲拡大

この規則は、がん、精神疾患、結核、腎疾患の治療薬を、既に非課税となっている糖尿病、高血圧、高コレステロール治療薬に追加し、付加価値税が非課税となることを定めています。ただし、対象薬品は保健省の承認リストに含まれるものに限られます。また、この規則の適用により既に納付された付加価値税については還付される手続きも設けられています。この改正は2020年1月の関連法改正を受けて行われたもので、国民の医療費負担軽減が狙いです。

RR No.17-2020 イスラム金融取引の課税ルール

この規則は、イスラム金融取引について課税の中立性を確保するための措置を講じています。イスラム金融と従来の金融取引が経済的に同等の場合は、課税上も同等の取り扱いがなされることになります。一方、イスラム金融特有の追加的な手続き上の書類については非課税となります。具体的な取引類型別の課税取扱いは別に通達される予定です。イスラム金融機関は従来の銀行と同様に税務登録が求められ、財務諸表の作成にも一定のルールが設けられています。多様な金融取引に対する公平な課税を図ることが狙いです。

RR No.16-2020 付加価値税還付申請期限の再延長

この規則は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、付加価値税の還付申請期限を一部の課税期間について再延長しています。2018年の課税期間分については2020年7月〜8月までの間に申請できることになりました。但し、一部の地域では外出制限解除から30日以内の申請となります。この期限延長は納税者への事務負担軽減を図る一時的な措置で、感染収束が見通せる状況になれば適用は終了します。

 

RR No.15-2020 滞納税額amnesty制度の適用延長

この規則は、2019年に導入された滞納税額のamnesty制度について、その適用期限を2020年12月31日まで再延長しています。期限延長の理由として、経済や健康上の理由が挙げられています。
amnesty制度を利用するための手続きも一部改正されました。具体的には、税務当局から滞納額の証明書を入手する期限が設定されるなど、amnesty申請手続きが明確化されています。納税者負担の軽減と手続き効率化が狙いです。

RR No.14-2020 未使用税額控除証の取扱改正

この規則は、未使用の税額控除証(TCC)の取り扱いを改正しています。TCCが1年以上未使用の場合、税務当局から事前通知の上で強制的に現金化されることになりました。また、有効期限後のTCCは原則として自動的に無効化されます。
一方で、未使用のTCCを現金化する申請も可能となり、未使用のまま5年を超えた現金化済みTCCは政府の収入となります。
これらの措置により、未使用のTCCの適切な税控除や現金化が促され、制度の適正な運用が図られます。

RR No.13-2020 国家アスリートへの税制優遇措置

この規則は、国家アスリートとコーチに対する民間事業者の割引販売について、それに伴う税制上の措置を定めています。優遇対象者には、スポーツ委員会から身分証明書が発行されます。
優遇措置として、事業者は国家アスリート等への販売額の20%を所得から控除できるようになりました。ただし、売上の適切な記録が条件となり、付加価値税の取り扱いなども細かく規定されています。規定違反には罰則も設けられています。
この制度は、ナショナルアスリートの生活支援と民間インセンティブの付与を目的としたもので、2019年の関連法改正を受けて導入されました。

RR No.12-2020 新型コロナ危機の税務期限延長の改正

この規則は、新型コロナウイルス感染症の影響で延長されていた各種税務手続の期限について、さらなる変更を加えるものです。期限は一律延長となり、外出制限の有無に関わらず適用されます。納税者は延長された新しい期限に従って手続きを行う必要があります。
また、修正申告による追加納税や過払い額の繰越適用など、納税者への配慮措置も盛り込まれています。手続期限の遅延防止と納税環境の改善が狙いです。

RR No.11-2020 新型コロナ危機の税務期限再延長

この規則は、新型コロナウイルス感染症に伴う各種税務手続期限の延長措置について、さらに15日間の再延長を設けています。延長の対象は様々な申告書の提出や納税期限など、文書2と同様です。
期限の延長は全国一律に適用され、追加延長の理由として外出制限の継続が挙げられています。納税者は延長後の新しい期限に従う必要があり、修正申告による追加納税・過払額の繰越しも可能です。納税者への配慮と滞納防止を狙いとしています。

RR No.10-2020 税務申告・納税期限の再延長

この規則は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う一連の期限延長措置について、さらに2か月程度の追加延長を定めています。対象となるのは申告書の提出や納税など様々な税務手続きで、延長後の新しい期限が設定されています。また延長期間がさらに伸びた場合には、30日ごとに追加延長される仕組みです。納税者は延長前の期限でも申告や納税ができ、延長期間内であれば修正申告も可能とされています。納税者への配慮と事務手続きの遅延防止を狙いとしています。

RR No.9-2020 新型コロナ寄付金の税制優遇措置

この規則は、新型コロナウイルス対策に係る寄付について、一定の要件の下で所得控除や寄付税の非課税を認める特例措置を定めています。対象となるのは政府機関や認定NGOなどへの現金寄付、医療機器・救援物資の寄付、施設の無償提供などです。これらの寄付は全額損金算入が可能となり、さらには寄付税も非課税となります。書類要件の提出があれば、企業や個人の納税者がこの優遇措置を受けられます。一方的な期間制限はありませんが、危機の収束後は適用が終了します。

RR No.8-2020 新型コロナ危機時の融資猶予措置

この規則は、新型コロナウイルス感染症の非常事態に伴い、銀行や金融機関に対し、一定期間の融資返済猶予措置を講じることを義務付けています。対象は住宅ローン、自動車ローン、クレジットカード支払いなどで、当面の利息・延滞金の徴収は行われません。この措置の適用期間は当初の外出制限令の期間でしたが、状況次第で延長される可能性もあります。借入人の負担軽減を図り、危機の沈静化に資することが目的です。

RR No.7-2020 各種税務手続期限の延長

この規則は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、納税申告書の提出やその他の税務書類の提出期限、納税期限などを一時的に延長しています。対象となる手続や期限延長の範囲が規定されており、延長期間は状況次第でさらに伸長される可能性もあります。ただし、期限を過ぎた後の提出や納付を妨げるものではありません。納税者への配慮と行政手続きの遅延防止を主な目的としています。

RR No.6-2020 新型コロナ医療品の非課税措置

この規則は、新型コロナウイルス対策に必要な医療機器や医薬品などの輸入について、付加価値税や物品税、手数料の免除措置を定めています。対象品目は保護具や検査キット、人工呼吸器などで、政府機関により認定されたものに限られます。また、非課税適用のため税関への申請手続き(ATRIG)は不要となります。さらに、これらの物品を政府機関などに寄付した場合も、寄付税は非課税となります。ただし、この措置は一時的なものとされています。

RR No.5-2020 滞納税額amnesty制度の適用延長

この規則は、2019年に導入された滞納税額の amnesty制度について、その適用期限を2020年4月23日まで1年間延長しています。対象は2017年以前の課税年度の税負債で、一定の場合には更なる延長も可能とされています。
この措置は、納税者の税負担を軽減し、コンプライアンス向上につなげることを目的としています。

RR No.4-2020 中央銀行への金売却非課税措置

この規則は、零細小規模鉱山業者と認定業者が、フィリピン中央銀行に金を売却する際の所得税と物品税を非課税とするものです。これにより金の国内売却が促進され、国際収支の改善が図られます。
非課税を受けるには、鉱山業者と業者は納税者番号の取得と中央銀行からの認定を受ける必要があります。一定の経過措置期間も設けられています。本措置は、2019年の法改正を受けて導入されたものです。

RR No.3-2020 不動産投資信託(REIT)制度の改正

この規則は、2009年に導入された不動産投資信託(REIT)制度の一部を改正しています。主な改正点は以下の通りです。

REITの株式公開要件を、上場時に1,000人以上の株主が存在し、発行済株式の3分の1以上を保有することに変更
スポンサーによる売却収入の1年以内再投資を義務付ける「再投資計画」の導入
不動産の現物出資時の譲渡所得税と付加価値税の非課税措置
REITの配当の損金算入要件を明確化
REITの上場義務期限を2年に短縮し、未上場の場合は軽減された印紙税相当分の納付義務発生
非上場株式の譲渡に対する課税の明確化

この改正により、REITの利用促進と健全な運営を図りつつ、一定の租税負担の緩和も実現される見込みです。

RR No.2-2020 中央銀行の非課税所得範囲の明確化

この規則は、フィリピン中央銀行(BSP)の非課税所得の範囲を明確化しています。
具体的には、銀行監督や通貨価値の維持などBSPの本来の政府的機能から生じる所得は、内国税が非課税となります。一方、その他の所得(自己資金運用収益など)については引き続き課税対象となります。
本措置により、BSPの財政健全性が確保され、金融政策の適正な運営が可能になることが期待されています。

RR No.1-2020 給与所得者の源泉徴収事務改正

この規則は、給与所得者の源泉徴収関連事務について、一部手続きを改正しています。
従業員が源泉徴収事務所に届け出る登録申請書(1902号様式)について、転職や複数就職時には、別途情報更新届(1905号様式)を提出する必要があることが明記されました。これにより源泉徴収額の適正化が図られます。