BIRが発行した税法改正(RR)の要約文【2022年】

RR No.15-2022 源泉徴収税率の改正

この規則は、一定の所得支払いについて源泉徴収税率を改正しています。特にメラルコ社(電力会社)が行う電気料金の還付金や預り金の利息支払いに関し、一般家庭用は10%、非住宅用は15%の源泉徴収税率が設けられました。また、他の電力会社による預り金利息支払いについても、同様の税率区分が設けられています。

RR No.14-2022 電子タバコ等の課税

この規則は、加熱式タバコ、電子タバコ液、新型タバコ製品に対する物品税と検査手数料を課す内容です。品目ごとに異なる税率と手数料率が設定され、今後は毎年一定割合で引き上げられます。製造業者や輸入業者は税務当局に登録を行い、製品のラベルなども事前承認が必要となります。インターネット販売についても規制され、無許可の販売は没収・罰則の対象となります。

RR No.13-2022 ストックオプションへの課税

この規則は、雇用主が従業員に支給するストックオプションなどの従業員持ち株インセンティブを課税対象の報酬所得として取り扱うことを定めています。従業員が権利行使時に得た経済的利益は、所得税法に基づき課税対象の報酬所得とみなされます。

RR No.12-2022 無料法律支援への租税優遇措置

この規則は、弁護士や法律事務所が無料で提供した法律サービスに対する租税優遇措置を定めています。無料法律サービスの対価相当額、または総収入の10%のいずれか低い方を、総所得から控除できるようになりました。ただし、弁護士に義務付けられている60時間の無料サポートは除外されます。控除を受けるには、公的機関の証明書や収入申告への記入、宣誓供述書の提出が必要となります。この措置は、法的支援を受けられない低所得者層への支援を促進することを目的としています。

RR No.11-2022 納税者固有ルーリングの自発的交換

この規則は、納税者固有のルーリング(予備判定など)を自発的に外国税務当局と交換する手続きを定めています。対象となるのは、特恵税制、移転価格、所得の減額調整、PE(恒久的施設)、コンデュートルーリングなどに関するものです。フィリピン歳入庁の国際租税課が交換の窓口となり、関連国の居住者企業や最終親会社の所在国などに、ルーリングを発行から3か月以内に送付します。過去のルーリングについても可能な限り送付が求められています。交換は原則郵送または暗号化メールで行われ、90日以内に回答が必要です。国外関連者の特定に努める等の手続きも定められています。

RR No.10-2022 相互協議手続ガイドライン

この規則は、租税条約の規定に沿わない課税に関し、フィリピン権限当局に相互協議手続き(MAP)の支援を求める手続きを定めています。課税当局とMAP担当部署による事前協議や、MAP要請書の提出要件、MAP検討プロセス、権限当局間の協議、移転価格算定方式の交渉など、MAP解決に向けた詳細な手順が規定されています。監査合意後でもMAPを申請できますが、裁判所の判決はMAPでは覆せません。要請者の情報は守秘義務の対象となります。

RR No.9-2022 電子伝票の証拠能力

この規則は、電子伝票と電子的な売上データの税務上の取り扱いを定めています。電子的な売上データと電子伝票は、一定の要件を満たせば税務調査で証拠能力が認められます。ただし、状況に応じて従来の書面伝票の提出を求められる場合もあります。納税者は電子システムへのアクセスを認める必要があり、拒否した場合は検査の障害とみなされます。

RR No.8-2022 電子伝票の発行と電子的な売上データの送信

この規則は、輸出業者、電子商取引事業者、大法人に対し、従来の手書き伝票に代えて電子伝票の発行と電子的な売上データの税務署への送信を義務付けています。売上データ送信システムの登録と認証が必要となり、送信遅延には罰則が課されます。中小事業者は任意で電子伝票に移行できます。

RR No.7-2022 再生可能エネルギー優遇制度

この規則は、再生可能エネルギー事業の税制優遇措置を定めています。優遇措置として、最長7年の法人税免除、10%の軽減法人税率、加速度償却制度、付加価値税ゼロ税率、炭素クレジット非課税などが認められます。ただし一定の要件を満たした上で、エネルギー省や投資委員会に登録する必要があります。国産の再生可能エネルギー設備manufacturers向けの優遇制度も規定されています。

RR No.6-2022 領収書・請求書の有効期限撤廃 重要度★★

この規則により、領収書/請求書の5年の有効期限が廃止されました。従来は印刷済みの伝票や、レジやPOSシステムから出力された伝票に「5年間有効」の記載が義務付けられていましたが、本規則によりその必要がなくなりました。ただし、改ざんや重大な変更があった場合は無効となる可能性があります。

RR No.5-2022 退役軍人銀行

フィリピン退役軍人銀行の株式が、戦争参加者から寡婦や子供、法定相続人に相続または贈与された場合、相続税が非課税となる。適用要件や手続きが定められている。

RR No.4-2022 免税区域への石油

フリーポートゾーンおよび経済特区への石油・石油製品の輸入と移転について、付加価値税と物品税の適切な課税と還付手続きを定める。輸入時に一旦税金を支払った後、輸出や一定の国内販売の場合に還付申請できる。移転の際は税関と内国歳入庁の許可が必要で、貯蔵施設の登録と監視体制も義務付けられる。

RR No.3-2022 市立教育機関と非営利病院

独立採算の私立教育機関と非営利病院には、2020年7月1日から2023年6月30日までは法人税率1%、その後は10%の優遇税率が適用される。ただし、非関連事業からの総収入が総収入の50%を超える場合は25%の通常法人税率となる。非営利教育機関で収益や資産が特定の者の利益になる場合も、その部分には25%の税率が課される。

RR No.2-2022 個人退職口座

個人退職口座(PERA)制度の運用細則が定められた。PERAへの拠出、引き出し、終了に関する四半期報告と年次報告の提出が義務付けられ、5%の税額控除証明書の発行と利用手続きが規定されている。

RR No.1-2022 コロナで期限延長

2022年1月に新型コロナウイルス感染症のアラートレベル3以上が発令された地域では、納税申告、税金支払い、審査対応、還付申請などの法定期限が30日間延長される。さらなる延長も可能で、電子申告と支払いが推奨される。