タックス・マッピングとは、フィリピンではBIR(税務署)が定期的あるいは予告なしに事務所や店舗を訪問し、法令遵守がされているかのチェックを行うことをいいます。その場で法令遵守されていないと指摘された場合は罰金が課されます。いわゆる税務調査とは異なり、表面的なコンプライアンスチェックです。
チェック事項は下記の項目です。
- もそも税務署に登録しているかどうかのチェック。 未登録の場合、罰金20,000ペソ
- 毎年の登録料が支払わているか。Form0605を掲示しているか。未払いの場合、罰金1,000ペソ
- 下記の書類を見やすい場所に掲示しているか。掲示していない場合、1点につき罰金1,000ペソ
BIR登録証(Form 2303)
毎年の登録料を支払った証憑(Form 0605)
“ASK FOR RECEIPT”と書かれた厚紙 - 正式なレシート、請求書を発行しているか。正式なレシート、請求書を提示し、常に使用しているかどうかをチェックされます。最新の日付が1ヶ月前だった、というような場合はレシートを発行していないとみなされ罰金が課されます。1回目の罰金は10,000ペソ、2回目は20,000ペソ
- 正式なレシート、請求書をもっているか。持っていない場合、罰金1,000ペソ~50,000ペソ(売上による)
- レジやPOSを使用している場合、それらが登録されているか。登録されていない場合、罰金1,000ペソ~50,000ペソ(売上による)
- レジやPOSを使用している場合、登録済であることを示すステッカーが貼られているか。貼られていない場合、機械1点につき罰金1,000ペソ
- 登録された手書きノートに取引を記帳しているか。そのノートが事業所に置いてあるか。記帳していない場合、罰金200ペソ~50,000ペソ(売上による)
TAX MAPPINGは多くの場合、予告なしに職員が訪問をしてくるため、会計事務所側ではサポートをすることが困難です。
手書きの帳簿記入について
フィリピンでは、手書きで指定されたノートに帳簿をつけることが義務付けられています。
これを回避するには、2つの方法があります。
- ルーズリーフ申請を行い、許可を取ることでエクセルを利用した記帳が認められます。エクセルから印刷した紙を帳簿として認めるため、ルーズリーフ申請と呼ばれています。申請してから1ヶ月ほどの時間を要します。
一旦許可を得た後は、毎年1月15日に、エクセルから印刷した帳簿を製本し、BIRにてスタンプを貰う必要があります。その製本が手書き帳簿の代わりとなります。 - ソフトウェア申請を行い、許可をとることで会計ソフトウェアの利用が認められます。ただしそのソフトウェアがBIRの基準を満たすことを示すために多くの書類が必要なこと、申請してから1年近く要すると言われており、この申請はほとんど利用されていません。
なお、ソフトウェア利用許可を得ずにソフトウェアを使用した場合は、50,000ペソまでの罰金が課されます。
オフショア・マネジメントでは①のルーズリーフ申請を一刻も早く行い、手書き帳簿の義務から逃れることを強く推奨します。ルーズリーフの利用許可を得るまでは、お客様側で手書きで帳簿をつけていただくか、罰金を払うか以外に、特に対策はありません。