フィリピンの税金制度は複雑で、書類の不備によっては税務調査の対象となることがあるため注意が必要です。多額の追徴課税を受けて損をしないために、フィリピンで豊富な事業経験を持つオフショア・マネジメントが、フィリピンの税金申告や送金方法について詳しく解説します。
フィリピンで税務申告に不備があると、税務局による調査が入るので注意しなければなりません。税務調査が入らないように注意するポイントをご紹介する前に、まずは現在のフィリピンの税務調査状況について解説します。
近年、フィリピンでは日系企業に対する税務調査が増加傾向にあります。数年前からその風潮はありましたが、新型コロナウィルスの感染対策も受け、ひっ迫する財政状況を改善するべくその動きは強くなっているようです。
そもそも、フィリピンの税務調査は内国歳入庁(BIR:Bureau of Internal Revenue)によって行われています。調査は調査通知(LOA:Letter of Authority)が届いた後に行われるため、LOAの到着でフィリピン法人は税務調査の開始を知ることになるのです。
税務調査を行う税務官には徴税ノルマが課せられているため、時折根拠が薄い不自然な金額指摘が入ることもあります。早く調査を終わらせるために、経理担当者に賄賂を持ちかけることもあるかもしれませんが、そのような話には乗ってはいけません。「賄賂の要求に乗る会社」として認識され、毎年税務調査の対象となる可能性があります。
このようないい加減な指摘で追徴されないためにも、申告前の確認が大切です。そこで、特に税務調査で指摘が入りやすいポイントをまとめました。
取引 | 税務調査の特徴 | 指摘されやすい項目 |
---|---|---|
フィリピン国内の取引 | ・指摘件数が多い ・細かい論点が発生しやすい |
・拡大源泉税・給与源泉税・証憑書類不備(ORなど) |
国際取引や日本人駐在員に関する取引 | ・指摘件数が少ない ・指摘金額が大きい |
・最終源泉税(租税条約)・付加価値税(VAT)・印紙税 |
論点となりやすいのが、領収書(OR:Official Receipt)などの書類不備です。フィリピンには受領証(AR:Acknowledgement Receipt)を税法上の証憑として使用することが認められていないため、ORの有無で損金やVAT免除などが認められるかどうかが決まります。ORには記載方法に細かい決まりもあり、この形式が間違っていても形式不備として認められません。ペナルティもあるため、PEZAや0%VATなどの特例を使用している場合は特に、記載に注意が必要です。
また、各種税金の処理や税率が正しく計算されているかチェックすることも大切です。よくあるのは、日本側で問題がなくても、フィリピン側で問題になってしまうケースです。
税務調査の対象となった場合は、経理担当者に調査の進捗を確認しましょう。フィリピンの税務調査は複数の段階を経て行われ、段階ごとに反論書や書類を提出する期限があります。この期限を過ぎると交渉の余地がなく、追徴金額が決定してしまうため、適切な対応ができているか適宜把握することが重要になります。
フィリピン進出で事業が成功した場合、利益の使い道の選択肢は、再投資に回す、親会社に還流することの2つです。ここでは、利益を還流する方法について解説します。
まず、フィリピン国内に支店を設立し、本店に利益を送金する場合です。この場合は「利益送金税」という税金がかかり、送金額に対して15%の課税が発生します。
この税金は支店が送金する利益のうち、源泉課税対象である利子や配当にはかかりません。総所得を構成する部分にだけ課税が発生します。本店側は単なる資金送金を受け取っただけなので、課税対象にはなりません。
次にフィリピン国内に子会社を設立し、日本の親会社へ還流する場合です。方法は2つあり、「配当」を利用する還流と、「取引」を通じた還流で税金が異なります。
配当を利用した還流を行う際には、配当金の支払い時に通常30%の源泉税が課税されます。しかし、日本とフィリピンの間には租税条約が締結しているため、10%または15%に課税額を抑えることが可能です。つまり配当の場合は、支払総額から源泉税が引かれた差額が親会社へ支払われることになります。
この税率は出資比率によって変わります。出資比率が10%以上なら源泉税10%、出資比率が10%未満なら15%の源泉税です。また、租税条約の適用を受ける場合は、適用申請書(TTRA)の届出を事前に内国歳入庁(BIR)に行う必要があります。これは毎年申請が必要なので、配当金で利益還流をする場合は注意しましょう。
また、配当以外で利益還流をする方法は、使用料(ロイヤリティー)等の取引があります。使用料にも源泉税がかかるため通常は30%の課税ですが、租税条約によってロイヤリティーの送金課税は10~15%に抑えることができます。
さらに、ロイヤリティーの場合はフィリピン法人の経費として計算できるため、法人税の控除を受けることが可能です。ただし、国際間で行われる関係会社間取引に当てはまるので、移転価格税制の対象となります。BIRから追徴課税の指摘をされやすい項目なので、必要書類の用意や請求根拠の明確化など手続きに準備が必要です。細かい税務処理なら、オフショア・マネジメントにお任せください。
フィリピンの税務申告がややこしいと言われる原因のひとつは、様々な書類が必要な点にあります。ORなどの書類形式不備はペナルティの対象となり、それだけで追徴課税となる恐れもあるからです。加えて税務調査では指摘に対応するため、書類や反論書を用意する必要があります。利益を送金する際にも、取引方法によっては税務調査の対象となるため、注意しなくてはなりません。気にかけることだらけのフィリピン事業ですが、オフショア・マネジメントなら現地の経理担当者の負担を減らすことができます。
会社名 | Offshore CAD & Management Inc. |
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代表者 | 林 秀生 |
住所 | 12F Jaka Bldg., 6780 Ayala Ave., Makati City, MM, Philippines |
電話 | +63-2-720-8760 |
info@offshorecad.com.ph | |
設立 | 2007年9月1日 |
主な事業内容 | 法人設立、許認可、税務申告、ビザ代行 |
アクセス | マニラ国際空港から車で30分ほどのところにある、マカティと呼ばれるビジネス街の中心に位置します。 |
会社名 | 株式会社オフショアキャド |
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代表者 | 林 秀生 |
住所 | 神奈川県横浜市 |
電話 | 045-947-2245 |
info@offshorecad.com.ph | |
設立 | 2017年7月4日 |
主な事業内容 | CADによる建築意匠図、フィリピン進出に関するコンサルティング |
URL | https://www.offshore-management.com.ph/ |