会社設立におけるよくある失敗

よくあるのが、「外資100%の法人ができるはずなのに、日本資本40%の法人を作られてしまった。」というトラブルです。
フィリピンの弁護士の多くは、外資100%の法人設立用件を知りません。知人の紹介、もしくは親会社の指定する会計事務所に設立を依頼したところ、外資100%の法人を設立できたはずなのに、外資40%の法人を作られてしまった、というケースが見られます。
私が普段、顧問を依頼している弁護士事務所も、外資100%の法人設立用件を分かっておらず、軽い口論になったことがあります。
設立した瞬間に、乗っ取られたようなものなので、失敗としてはかなり大きな部類でしょう。
弁護士というのは、確かに法律用語や、教科書通りの手続きには詳しいのですが、実務的に場数を踏んでいるかどうかというとそうでもありません。会社設立は弁護士に依頼した方が確実、と思う気持ちも分からないでもないですが、登記そのものに、善し悪しというものはほとんどありません。実際には数をこなしている日本人コンサルタントの方が経験値は高いということが起きます。

また、ビジネスパーミットを取得できない住所地で登記をしてしまうことも多いです。法人登記をする時点では、その住所地がビジネスをしてよい場所かどうかのチェックは一切行われません。賃貸契約書の提示も不要です。
そのため、登記が済んだは良いが、ビジネスパーミットがどうやってもとれない、登記した直後に住所地を変更しなければならない事態に陥ってしまう方がいます。

また、「弁護士や会計士などに100万円単位の費用を払って、会社の設立を依頼したが、登記が終わった時点で放り出されてしまい、どうしてよいか分からなくなってしまった
という話もよく聞きます。実際には法人登記の後、市の許認可や税務署の登録などが必要であるとは知らされておらず、全て面倒を見てくれるものと思っていたため、自分では必要なことを何もしなかったというものです。
弁護士や会計士は、賃貸契約や、採用のサポートなどは基本的にはやってくれません。
弁護士・会計士の多くは自分の守備範囲の知識しか無く、それ以上のことは何もやらないだけでなく、「このあと、○○が必要ですよ、ちゃんとやってくださいね」というような親切な指導もしてくれないのが普通です。
日本人のよく使う「あなたに全て任せたはずだ」という台詞を言ったところで、「俺たちは契約した業務だけをやっただけだ。何が不満なのか」と言われるだけでしょう。

フィリピンの会社設立は登記だけでは終わりません。登記はほんのスタートラインに立っただけです。
設立を依頼する場合は、包括的な経験と知識を有しているコンサルタントに依頼しましょう。