経理をリモート管理するための5つのツール

フィリピンで会社を経営することには多くの困難が伴います。従業員のマネジメントのこと、オペレーションに関すること、経理・会計・税務周りの適切な処理に関することなどなど。

中でも経理・会計・税務周りだけは、経営者やると決めさえすれば、効率化、システム化することが可能です。そして完全リモート管理が可能です。私は2007年にフィリピンで会社を設立し、経理周りにはかなり苦労して今までやってきましたが、今ではこの2年間、フィリピンに渡航することなく、自社の経理だけでなく複数の顧問先の経理・税務・給与計算などの管理をしています。
その中で、絶対に導入すべき5つのツールをご紹介します。

順番にざっとご説明します。

会計ソフトウェアXEROを導入する

XERO(ゼロと読みます)はニュージーランド発祥のクラウド型会計ソフトウェアで、PayPalの傘下だと聞いています。大きな利点は

WEBベースなのでどこからでも参照できる。何人でもユーザーを追加可能なこと
アップデートの頻度が高く、どんどん高機能化していること

です。

経理周りで、絶対に避けなければならないのは、「会計担当の社員のEXCELのみで経理作業を行うこと」です。その社員が何をやっているのかわからないというブラックボックスと化してしまいます。その人が退職したら、全てが闇の中へと消えることでしょう。経理・会計というのは数字同士の絡みが多く、データベース的なソフトウェアの力を借りずに処理をすることは不可能と言ってよいでしょう。それでも、関数をいくつも組み合わせてしまえばEXCELでもできないことはありません。しかし、その関数が合っているのか、参照が合っているのか、誰も確認することはできません。

会計ソフトウェアを導入し、全ての記録をそこへ集約することで、まずはブラックボックス化を防ぐ。これが経理の第1ステップです。

ドキュメントスキャナScanSnapを導入する

フィリピンでスキャナといえば、さすがにフラットヘッドのスキャナーは今は使われなくなりましたが、せいぜい、家庭用複合機にシートフィーダのついたようなものがよく使われます。そういったスキャナーをお使いの場合は、「スキャナーはもうあるからこれでいい」と考えてはいけません。
このScanSnapというスキャナーは一度使ってみればわかりますが、圧倒的な能力を持ちます。

  1. スキャン速度が圧倒的に早い
  2. バラバラのサイズでもお構いなしに突っ込める
  3. パスポートや通帳、免許証などの分厚いものでもお構いなしに突っ込める。
  4. 裏にも文字が書いてあれば自動で認識して、裏面も同時にスキャンしてくれる。
  5. 文字の向きを認識して、自動でPDFを回転してくれる。
  6. 糊付けされたレシートなども、変にエラーで止まったりせずスキャンを続行できる。

そして、会社内の書類は全てスキャンするというルールを徹底させます。社内に「スキャンされていない書類が存在しない」という状態にするのです。そしてそれらを3つ目のツールである「クラウドストレージ」に保管します。

フィリピンの経理をやればわかりますが、基本的に領収証や請求書は紙ベースが公式なものであり、加えて紙の小切手が多く使われるため、日常的に大量の紙が発生します。
一つの取引が完了すれば、取引の表紙、見積書、請求書、領収証、発行した小切手と多くの、しかもサイズがバラバラなものがひとかたまりとなって現れます。それらをとにかく、瞬時に正確にスキャンしデータ化するにはScanSnapが必須となります。

DropBox、Google Driveなどのクラウドストレージを導入する

PDF化した書類は全てクラウドストレージに突っ込みます(紙の原本は戸棚を買って保管するしかありません。フィリピンではまだまだ原本主義ですので、6年間、できれば10年間は保管する必要があります。)

クラウドでは、このようなフォルダーを作り、そこへ保管します。もちろんフォルダ構成は複数の階層になりますがここでは割愛します。

 

TEAMVIEWERを導入する

TEAMVIEWER(ティームビューワ)とは、相手のPCに接続して直接操作を行うツールです。

業務上、多くのマクロやAutoLISPコマンド、DropBoxなどを使っているので不具合が起きることがあります。そのようなときは、相手のPCに直接接続し、そこで不具合を直します。文字だけの会話で一つひとつ状況を聞いていたら、解決には至りません。直接PCに触るのが一番早く、そして相手にも何をしているのかが見えるため、次回は相手が自分で解決できるようになります。

私は在宅勤務も含め、全社員のPCをTEAMVIEWERに入れており、いつでも接続する状態にしてあります。
社員がパソコンもに電源を入れたこともわかるので、臨場感がありお勧めです。

 

Brotherのラベルプリンターを導入する

ラベルプリンターというのはこういうもので、シールになった感熱紙に文字や通し番号を印刷するものです。

例えば、パソコンやテーブルなどの固定資産に、資産管理番号や購入日、スペックなどを印刷したラベルを貼るのに使います。

経理においては、23mmx23mm角のラベルに通し番号を印刷し、帳票に貼り付けます。
Brotherのソフトウェアはなかなかよくできていて、通し番号を印刷する機能がありますので、500枚の通し番号付きステッカーでも簡単に印刷できます。
この通し番号は、レファレンス番号として会計ソフトウェアに入力します。
こうすることで、何年経っても会計ソフトウェアから通し番号を調べ、そこから原本を探すということが可能になります。実際、私の会社では2011年からこの方式を使っていますので、10年前の取引であっても苦労せずに請求書や領収証を調べ、自宅にいながらにクラウドストレージからPDFを閲覧することができます。

赤で囲ったステッカーがラベルプリンターで印刷した通し番号。

このやり方には、社員とコミュニケーションしなくても、必要な情報を経営者自身が取り出せるという大きなメリットがあります。
例えば「ええと、最後にエアコンのクリーニングしたのいつだっけ?」というような時は、社員に「エアコンのクリーニング業者、名前なんだっけ」と聞きます。その業者の名前を会計ソフトウェアで検索すれば、取引が全て出てきますので、最後にクリーニングをしたのがいつであるかはたちどころに分かります。

遠隔地から小切手を発行するシステムを導入する

フィリピンの銀行は、大手であれば各社、遠隔地から小切手を承認するシステムを持っていますので、まだ使われていない方はぜひお勧めします。
私は基本的に、オンライン支払いではなく小切手派で、2,3日に2,3枚のペースで小切手の承認を行っています。緊急事態用に、サイン済みの白紙小切手も数枚、現地の金庫に入れてありますが、ほぼ使うことはありません。

以上がフィリピンの会社内の経理をリモート管理するための5つのツールのご紹介です。
こういったやり方を導入したいという方はご連絡ください。3ヶ月間ほどのコンサル料で導入支援を致します。

健全な会社経営は、健全な経理から。