リモートコミュニケーションの鉄則

離れた地のフィリピン人社員と、どのように業務連絡をしていますか。私はもっぱらSkypeのチャットです。
音声でのコミュニケーションはありません。
もう2年半ほどフィリピンに行っておらず、Skypeチャットのみで30人の社員を動かしています。

従業員とのSkypeチャットをする時にいくつかルールを作っています。

 

文章の目的語を省略するな

「今日はBIRへ行って提出してきます」というような目的語がない文章は禁止します。
本人は2,3のプロジェクトしか持っていないので、BIRへ行くといえば何の件か決まっているのでしょうが、マネージする側はいくつもの件を抱えているので、何の件なのかを省略されると分かりません。
同じように、「○を○に渡す」というような第4文型の文章は、両方の目的語を明記させます。

代名詞を使うな

放っておくと、「彼にそれを渡しました」というような文章を使いたがりますが、それも全て禁止します。書く方はその方が楽なのですが、読む方は何のことかわかりません。これはかなり厳しく指導します。
当然ですが、部下に言う以上、こちらからスタッフへの指示の際も、同じルールを守らなくてはなりません。

メールを転送して終わりにするな。何が書いてあって、何をしてほしいのかを自分の言葉で書け

PEZAから来た、SECから来たと、メールを単に転送して終わりにする担当者は、かなり仕事の質が悪いです。
「俺は単に転送されたメールは一切読まない」と伝え、自分の言葉で書かせましょう。

「これは○○から来た通知です。」のような依頼でも報告でも無いような文章を書くな。

気の弱いスタッフにありがちですが、「こういう通知が来ました」とだけ言って、PDFにを添付してくる社員がいます。「so what?」「What do you want me to do??」といって返しましょう。
報告なのか、何かして欲しいのか、明確にさせましょう。

正確な日付はいらないから、時系列で文章を書け。

税務署や社保事務所でのなにかトラブルが合ったときに多いのですが、そのトラブルがどこから始まって、どういう経緯で、今何が問題で、誰ばそのボールを持っているのか、きちんと説明できる社員はあまり多くはないです。
大抵の場合「問題が発生しました」と言い出して「ペナルティを払えと言われました。どうしますか」と続きます。
どうしますか、と言われても、何がどうなっているのかわからないので根掘り葉掘り聞くと、現在からだんだんと過去に遡っていって、だんだん話がぐちゃぐちゃになり、さっぱり理解ができなくなります。
そういうときは、「時系列で、かつ箇条書きでもう一度最初から書け。」と言います。
フィリピン人は道端でウダウダとおしゃべりをして過ごす週間があるので、そのノリでチャットをされると、こちらはいくら時間が合っても足りません。ダラダラとした説明が始まったら、一旦切り上げて、再度説明し直させましょう。

細切れの情報をパラパラと書くな。まとめて書け。

上と似ていますが、細切れの情報ほどつかれるものはありません。ひどいスタッフだと位置行ごとにSkypeで送信してくる子もいます。細切れのことをフィリピンの言葉ではChop Chopと言います。肉を包丁でChop(ぶつ切り)にしたイメージでしょうか。
Chop Chop Informationはやめてくれ、僕は忙しいんだ。と言いましょう。

具体的に書け。「書類が必要です」ではなく、「○○と○○が必要です」と書け。

具体的に書かない。これもフィリピンのスタッフには非常に多いです。
具体的に書いたところで、いくつも無いはずなのですが、面倒なのでしょう。漠然とした書き方をします。
「Write it specifically !」と即座に返しましょう。コミュニケーションは一発で終わらせるつもりで。

「ALL」という言葉を使うな。「全て渡しました」ではなく、具体的に書け。

資格試験などで、選択肢から正解を選ぶ時、”All”という言葉が使われている選択肢は必ず間違いであると言われています。それほど、Allという言葉が使われる場面は日常の業務では少ないのです。
Allという言葉を使うスタッフは要注意です。これも前述とおなじで、AllではなくSpecificに書け、と言いましょう。
そのかわり、こちらからスタッフに指示する時もAllという言葉は使ってはなりません。

メッセージを読んだのなら、読んだという反応しろ。必ずやります、という約束という意味では無いから。

受け取る方としたら、返事をしてしまったらスケジュールに了解したと取られる可能性があるので、返事をしたくないのでしょう。
そういう意味ではなく、読んだという意味で反応をさせましょう。Skypeにはアイコンを付加する機能がありますので、どんなアイコンでもよいので、反応させましょう。
そのかわり、「お前は返事したじゃないか。なぜ今日中にできなかったのか」と言ってはいけません。
それを言ってしまうと、次から返事をしなくなります。

 

フィリピンの人はおしゃべり好きで、意図的に不完全な情報を小出しして、漫才のように掛け合いを楽しむようなところがあります。それはそれで良いことなので否定はしませんが、離れたところでChatで業務連絡をやるときは、極力、「正確なコミュニケーションを心がけけて一発で終わらせる」工夫をお互いにする必要があります。

マネージする側がスタッフへ指示を発信する場合については、次の記事をどうぞ。