リモートで指示をする側が気をつけること

私は2017年から2022年の現在まで、日本からフィリピンの社員をマネージしていますが、実はその前にも2年ほど練習をしていました。10階のオフィスにスタッフがいて、自分は12階にいて、1日誰とも顔を合わせずに仕事をするということを2年ほど続けました。

その後、偶然日本に帰国することになり、コロナになったわけですが、遠隔マネジメントはかなり訓練していたので、特に混乱することはありませんでした。

指示する側として気をつけていることをいくつか挙げてみたいと思います。

曖昧な表現はしない

従業員側に求めているコミュニケーションルールと同様ですが、指示を出す側も同じルールを守る必要があります。すなわち

  1. 文章の目的語を省略しない。
  2. 代名詞を使わない。「こないだ送ったあの資料」ではなく「プロジェクトAのフォルダ0918に入っているPDF」
  3. メールを転送して終わりにしない。何が書いてあって、何をしてほしいのかを自分の言葉で書く。
  4. 指示なのか報告なのかを明確にする。
  5. 細切れの情報をパラパラと書かず、まとめて書く。
  6. 具体的に指示する。「火曜日までに」ではなく「火曜日の17時までに」「火曜日の24時までに」
    「なるべく早く」ではなく「今日の17時までに」
  7. 「ALL」という言葉を使わない。具体的に列挙して書く。

フィリピンの従業員は、曖昧だなと思っても上司に気を使っていちいち確認をしてこない傾向があります。
そうすると、ひょっとしたら、あれかもしれい、これもかもしれない、と怒られるのを避けるためにあれもこれもと余計なことをしてしまうことが多くあります。
彼らに安心して仕事をしてもらうために、また、リーダーが部下に間違った指示を出してしまわないように、指示は「具体的に的確に」が大原則です。

 

フォルダは細かく区切って、画像でファイルのありかを伝達

私たちはクラウドのストレージはDropBoxを使っています。
共用フォルダは、非常に沢山のフォルダに区切られていて、全ての業務を足せば数万フォルダあります。
フォルダは言ってみれば、整理整頓の引き出しですので、多ければ多いほど迷うことが減るため、リモートマネジメントには必須となります。

ファイルがどこにあるかを伝達するときは、このようにフォルダをキャプチャーし、下線を引いてSkypeに貼り付けます。スタッフの側も、何かを見てほしいときや、成果品を私に送る時は、同じようにフォルダ位置をキャプチャし、下線を引きます。

キャプチャーソフトはいろいろありますが、ScreenPressoが定番です。
Printcsreenでキャプチャでき、その後即座に編集モードに入れます。下線を引いたらクリップボードにコピーし、Skype上でCtrl+Vを押せば、画像が張り付きます。

キャプチャーソフトを使わない人も多く、ひどい人だと毎回Print Screenで全画面をキャプチャーして、エクセルに貼り付けてから送ってくる人もいます。

iPadは究極の遠隔マネジメントツール

文字だけの会話は、特に会計や建築など分野ですとドツボにはまります。
一般論的な話であれば文字でも良いのですが、具体的な案件になると、何のことを言っているのか理解に齟齬が生じます。

下の図は、税務申告書の中の計算方法がどうして各社で違うのか、自動計算ではないのか、なぜこういうことが起きるのかが疑問だったので、社員に質問をしたときの画像です。
これを文字だけで説明するのは時間の無駄だし、相手も正確に理解できないでしょう。
画像であれば、まさに「一発」です。

iPadを使うようになって2,3年ですが、これで仕事の進め方は激変しました。
もう2年半フィリピンには行っていませんが、仕事の運営上は何の問題もありません。その場所にいて口頭で会話をするよりも、こういったツールを使った会話のほうが正確だからです。

社員の顔も良く覚えていない状態になってきたので、それはそれで問題ですが・・・

iPadはあまりに便利なのでフィリピンのリーダーたちにも配布しました。
活用されているかと言われると微妙ではありますが・・・

リモートで叱責は極力しない

絶対にしない、という意味ではありません。極力、叱責はしないようにしています。面と向かって言われるよりも、文字で言われる方が気分を害してしまい、悪影響があるからです。
しかし私も短気なので、我慢できずに言ってしまうこともありますが、すぐに別の話題を始めるなどして、すでに忘れたかのうな演技をするようにしています。
罪を憎んで人を憎まず。