カラオケに行くな、本を読め

この記事は2003年頃(35歳のとき)に書いたものの転載です。物価、社会情勢等は当時のままですのでご了承ください。

●日本人はフィリピン(あるいは他の発展途上国)に赴任をしたその日から、貯金の消費が始まる。貯金と言うのはお金ではなく、知識や経験の貯金のことだ。
日本で働いているときは、知らずのうちに、毎日毎日、新しい物に触れることができる。自分が意識して新しい物や情報を追いかけなくても、自分の周りには新しいことを始める人がいるだろうし、電車に乗れば新しい物の広告がいっぱいぶらさがっているし、テレビでもいろんな新しいことが紹介されている。多くの日本人がいるから、いろんな分野で秀でた人たちに、いくらでもめぐり合うことができる。
日本にいれば、知らないうちにその人なりに、最新の自分に簡単にアップデートすることができる。

●ところがフィリピンのような国に来てしまうと、それらがぱったりとなくなる。
本や雑誌は売っていない。テレビはNHKだけ。(最近はいろいろ見られるらしいが)業務自体も新規の仕事を開発するよりも、既存の業務を安い労働力で繰り返すことが主になる。周りに日本人が少ないので、他人から新しいことを学ぶ機会がぐっと減る。
そして、「Yes Sir」を連発する従順なフィリピン人に囲まれているうちに、日本人は「王様」化してしまい、自分は完全で、全ての知識と判断力を有した最高の人間だと勘違いするようになる。
確かに、フィリピン人スタッフに比べれば、赴任する日本人は知識・経験の量・質共に圧倒していて、それを分け与えるのが仕事の一部でもあるのだが、その一方で、自分の知識・経験の貯金が増えることはほとんどない。

●私はフィリピンにずっと生活したいと考えているが、気がかりなのはこういった自分の技術や知識をどうやって磨いたらよいかと言うことだ。

●今できることといえば、なるべく本を読むことだ。フィリピンにいれば、日本より間違いなく自分の時間が増える。この時間をくだらないカラオケに使ってしまうのは非常にもったいない。

●私は全く読書をしない人間だったが、フィリピンに来てから少しずつ本を読むようになった。一説によると、「年間25冊=月2冊」少なくともこれだけ読めば、読書を習慣化することが出来ると言う。(私は月1冊か2冊という超スローペースだ)