5つの”あ”

この記事は2003年頃(35歳のとき)に書いたものの転載です。物価、社会情勢等は当時のままですのでご了承ください。

●フィリピンの日系企業の間で、昔から出回っている『5つの”あ” 』というのがある。だれが考えたのか知らない。
フィリピン人に対する心構えを書いたものだ。
あきらめない
あたまにこない
あまやかさない
あせらない
あてにしない
なかなか面白い。
しかし「あきらめない」と言っておきながら、なんとなく全体から「あきらめムード」が漂っているような気がする。

●あきらめない
習うより慣れろ、という言葉の通り、相手が「慣れた」と言う状態になるまで、あきらめない。一旦慣れてしまい、「いつものあれ」という状態になってしまうと、フィリピン人というのは一緒にいてとても心地よい国民だ。
「おい、これをいつものように、あれして」
「イエッサー」
「この仕事はこないだのあれで。」
「イエッサー」
時間をかけて「あれ」をどんどん増やすしかない。あきらめない。

●あたまにこない
つまらないことでは、いちいちあたまにこない。でないと、血管が切れすぎて、足りなくなくなる。それに、いつも怒っている人、と思われてしまう。
でも大事なことでは、本気で頭にこないと何も進歩しない。
だから、頭にくることも大切だ。
恨みをかわなければ、叱責の恐怖は効果がある。

●あまやかさない
あまやかすと、どんどんつけあがる。境界線がよくわからないらしい。

●あせらない
これは違う。どんどん焦らせる。どんどんせかす。
スーパーのレジだって、お客全員が焦らせれば早くなるはずだ。

●あてにしない
これは2面性があって、難しい。
大事なことは日本人が必ず自分の目で最終確認すべきだ。あてにしてはいけないと思う。
一方、信用して、あてにしなければ、いつまでたっても育たない。
信用して任せたときは、成長が早い。

●しかし、こういう標語が存在するということは、いかに先人たちが苦労してきたか、ということの証でもある。異文化は手ごわい。