フィリピン人社員に言い訳を言わせない方法

この記事は2003年頃(35歳のとき)に書いたものの転載です。物価、社会情勢等は当時のままですのでご了承ください。

●フィリピン人は言い訳をよくする国民だ。何かを指摘すると、悪びれもせず、「ビコーズ、・・・・・・」といきなり言い訳を始めるやつがかなりいる。

●このビコーズ病だが、日本人の方にも少し原因がある。なぜなら、日本人は会話の中に「反語文」をよく使うからだ。
例えば、遅刻をしてきたフィリピン人に「なぜ、毎日定時に来られないんだ!」と言えば、これはもう反語的表現である。文章だけを見ると、これは理由を相手に聞く立派な疑問文となっている。もちろん、本意は「なぜ来られないんだ!ちゃんと来い!」であるが、このひねくれた文章を理解できないフィリピン人は、「ビコーズ・・・」とまともに理由を話そうとする。そして日本人はキレる。
他にも
「なんで、チェックしてから提出しないんだ!」「なんで、伝言はメモにしておかないんだ!」「なんで、掃除機をかけないのよ!」「なんでそんなにたくさん洗剤を入れるの!」
などなど、いくらでもあるが、これは全部言い訳を誘う言い方である。フィリピンではこういう言い方をやめて
「チェックしてから提出しろ」「掃除機をかけろ」「伝言はメモにしろ」
と命令口調で言わないといけない。
これでも「ビコーズ・・」といい始めるやつには「ノーノーノー! しろといっているんだ。お前のEXCUSEは聞いていない」といえば、ほとんどのフィリピン人は黙る。
そういえば昔、新入社員のころ、会社の上司に「君はずいぶん器用な格好で図面が書けるんだねぇ」と言われたことがあった。「えへへ」とか笑っていたら、周りの先輩が後で「お前、姿勢が悪いって言われてるんだぞ!」と教えてくれたことがあった。ここまでひねくれた言い方をする人はあまりいないだろうが。
他にも、「この部屋は暑いですね」(本心:窓を開けてくれないかな )というような例も、日本独特のものとして紹介されている。このようなニュアンスをフィリピン人に理解してもらおうと思うのは無理というものである。
出典:コリア驚いた!韓国から見たニッポンhttp://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4255000956/

●もう一つ、興味深い例がある。
私は図面の仕事をしているので、毎日のように図面の訂正原稿などを日本から受け取る。例えば、発注者が、「この線が細いので太くして欲しい」と思ったとする。
すると、発注者のうち70%くらいの人は「この線を太く」と原稿に書くが、なんと残り30%くらいの人は「この線は細い」と書くのである。つまり、「細いから太くしろ」なのだが、非常にこれは日本的な表現である。
これはそのまま訳して「Thin Line」とか「This line is too thin」などとスタッフに伝えると、スタッフはどうしてよいかわからない。まるっきり指示になっていないからである。この場合は「Thicker(太く)」という風に指示形式で伝えなくてはならない。

●言い訳の多い国民といわれるが、日本人が言い訳を嫌うということを知っておきながら、それでも言い訳をするような者はほとんどいない。つまり、もっとも確実に言い訳を止めさせる方法は、「俺はグダグダした言い訳が嫌いなんだ!」という意志表示を早いうちにはっきりとしておくことであろう。