社内の席替えの重要性

この記事は2003年頃(35歳のとき)に書いたものの転載です。物価、社会情勢等は当時のままですのでご了承ください。

●フィリピン人は、熱しやすく冷めやすい。
少なくとも3ヶ月に1回くらいは『何か』が起こらないと、惰性の世界に陥ってしまう。この『何か』として、事務所のチーム編成を変えることは非常に効果的だ。

●このチーム替え・席替えに、私達はアホかと思われるくらいにこだわっている。
30人なら30人分の名前を書いたカードを毎回用意して、まずは日本人だけで新編成を考える。そのときに、
「こいつとこいつは仲が悪いから離そう」とか「こいつはこのリーダーの下のほうが力が出そうだから、このままこっちに入れよう」「こいつは、この厳しいリーダーに教育させよう」といった人間関係や教育方針を全て盛り込む。
新編成の素案が出来たら、リーダー達を一人一人別室に別室に呼んで、カードを並べて見せて「この組み合わせでどうだ」というような相談をする。リーダー達の考えを全て盛り込み、編成を決定する。

●問題は、誰と誰の相性がいいとか悪いとかといったことを日本人が把握することができるのか、あるいは把握する必要があるのか、という点だ。そんなことは放っておけ、という人もいる。
しかし私は、絶対に把握するべきであるという考えだ。なぜなら日本人には想像できないくらいにフィリピン人は「生臭い」生き物であり、個々人の人間関係というのは無視するには大きすぎる問題だからだ。
誰と仕事をさせるかによって、力がものすごく伸びたり伸び悩んだり、大きく差が現れる。
フィリピン人自身も、誰と同じチームで仕事をするかということに、とてもこだわる。日本の小学生の席替えでは、誰の隣に座るかというのは大問題だが、それと非常に良く似ている。

●その後は、各スタッフにを一人一人呼び、新編成を説明し、期待している役割を口頭で説明する。スタッフが新編成を見た瞬間の表情の変化で、喜んでいるのか、ちょっとがっかりしているのかがわかる。でも下のスタッフたちの希望は、あまり取り入れない。誰でも、最初は始めての人と仕事をするのを怖がるが、1ヶ月もすればすぐに慣れて、「前より今のほうがいい」などと言い出すからだ。

●最後は、実際にどの位置に座るかを決める。
見張っていないとすぐに遊んでしまうようなスタッフは、日本人からパソコンのモニターが見える位置に座らせる。逆に放っておいても仕事をするやつは、遠くのほうでも構わない。
私の目の前はいつも要注意人物を座らせるのが伝統なので、そこに座らせられる者は、言われなくても「あちゃー、おれは監視されてるんだ」とわかる。

●たかが席替え、されど席替え。席替え・チーム替えはその会社の教育方針をそのまま表明している。
1年くらいチーム替えなんてしていないなぁ、という人は、一度、大きく組織をかき回してみてはいかがか。