フィリピン人社員が退職するときは笑顔で

この記事は2003年頃(35歳のとき)に書いたものの転載です。物価、社会情勢等は当時のままですのでご了承ください。

●メイドをクビにする時、従業員をクビにする時、店員とけんかになった時でも、最後に別れる時は、必ず笑顔で別れろという話である。
頭に血が上った状態のまま、「2度と来るなボケ」とか「2度と来るかアホ」というような顔つきのまま、別れない。どんなに頭にきていようが、冗談の1つや2つをかまして、お互い笑顔を見せ合って別れ、相手が目の前からいなくなってから「2度と来るなボケ」とこっそり心の中で思うように心がける。

●たとえば従業員をクビにする時。
解雇の方法には2通りあり、
1:解雇通知で言葉どおりクビにする方法と、
2:なんとなく遠まわしに解雇を匂わせておいて、自分から退職願を出させる方法とがある。
面白いことに、解雇通知で解雇されたスタッフは2度と会社には現れない。中にはひょっこり遊びに来る者もいるが、半年とか1年以上の期間をおいてからでないと、まず現れない。反対に、自分から退職願を出した者は、表向き、自己都合退職であるから、堂々と会社に遊びに来る。本人のプライドが保たれているから、昔の仲間に会うのも全く恥ずかしくない。
会社を辞めたスタッフが遊びに来ようが来るまいが、あまり関係ないと思うかもしれないが、私は少なくとも人に恨まれて殺されたくはないので、できることなら笑顔で別れる方法を選ぶ。命までは狙われなくても、会社に恨みを持った者と言うのは、「この会社は違法ソフトをつかっているぞ」と当局に通報したり、何らかの形で業務を妨害しようと考える者もいる。マニラに5年、10年といれば退職者も相当な数にのぼるわけで、そういう被害に遭う確率もだんだんに高くなるだろう。

●メイドの場合もそうだ
クビにしたいと思ったら、何でもいいから嘘の理由を言って、もう働いてもらうことができない、ごめんなさい、と言う。私は以前、「来週からタイに転勤になった」と言ってクビにした。向こうももちろん、嘘というのはわかっている。
その他、買い物などでお店で不愉快なことがあった場合、コンドミのアドミともめた後でもなんでも、最後は「バイバイ」「サンキュ」と笑顔で別れるように努める。
禍根を残したまま別れても、得なことなど一切ない。ほとんどのフィリピン人は、私達に比べれば失う物などないに等しい。嫌がらせをしようと思ったら、どんなことでもできる。
以前、どなたかのWEBページを見ていたら、このように書かれていた。「フィリピンで安全に暮らす方法は、高い塀を作ることでも、ガードマンを雇うことでもない。いい人でいることだ。」これはまさに言い得て妙である。
開放された日本人もイラク人の前で「いい人」だったのだろうか。。。