潜水艦とアイスクリーム

この記事は2003年頃(35歳のとき)に書いたものの転載です。物価、社会情勢等は当時のままですのでご了承ください。

●第2次世界大戦中、アメリカ軍の潜水艦にはアイスクリーム製造機が据え付けられていたそうだ。
せまくて薄暗い潜水艦の中で、緊張を強いられる潜水艦の乗組員にとって、そのアイスクリームは大人気で、生還率の高さともあいまって、潜水艦の志願者は多かったという。

●このメルマガの第6号で、フィリピンにおける企業の目指すべき3つの円ということを書いた。すなわち
 1:職場が楽しい。
 2:その仕事で十分な報酬が得られる。
 3:その仕事が好きで情熱が持てる。
という3点が重なる時、従業員が大変な力を発揮するということだ。
ここで言いたかったことは、特に1番の「職場を楽しい」雰囲気にするために、努力を惜しむべきではないということである。
言い換えれば、「わが社にとってのアイスクリームは何か」ということを、日本人は大まじめに考えるべきだと思うのである。

ところが日本人はあまり、アイスクリームを大切に考えない。
何でもかんでも規則や罰則で縛り付け、定時になれば全員がビシっと席につき、私語も無く、使用電話をする者も無く、ぱっと見た感じ一心不乱に仕事に打ち込んでいる『ように見える』組織を理想とする。
クソ食らえである。

●私のところでのアイスクリームはなんであるかというと、
昼休みはパソコン対戦ゲームで遊び放題仕事が終わった者は残って遊んでいても黙認(もちろんタイムカードを通した後)業務中の携帯メール黙認固定電話の使用黙認遅刻はポイント制でポイントの範囲内ならお咎めなし(但し要連絡)業務中のスナック菓子も黙認(本当は禁止にしたいのだが)インターネットは共用機で使い放題
特にパソコンの対戦ゲームは、私も含めて、ほぼ全従業員がハマっており、それがやりたくて会社にきているんじゃなかろうか、と思う者もいるくらいだ。もちろんコミュニケーションに果たす役割も非常に大きい。

●最近、このアイスクリームを新しく来た他の日本人達に取り上げられそうになっていて、ちょっと困っている。
このアイスクリームがなくなると、厳しい訓練(業務)の後のご褒美がなくなってしまう。アメとムチのアメが無くなってしまう。
私はスタッフの仕事の内容とスピード(納期)、チームワークにはかなり厳しいつもりなのだが、アイスクリームがなくなってしまうと、ちょっとやりづらいのである。これは私にとっては大変に困る。

●しかし残念なことに、アイスクリームのような余計な物は無くしてしまえ!というのが一般的な考え方だ。
なぜなら、アイスクリームをどうしても取り上げたい司令官は、潜水艦に乗ったことなどないのだから。